寝たきりでもオムツをはずす

 オムツをはずすのは大歓迎だが、気になるのが寝たきりの方だ。トイレに行きたくても行けないその場合はどうするのか。

 「やっぱりはずします。尿の失敗だとある程度なら尿パッドがあれば大丈夫。でも便の失敗はそうはいかない、だから寝たきりの方の場合、どうしてもオムツを使ってしまうのですが、当施設ではオムツをはずすと同時に『便失禁ゼロ』の取り組みをスタートさせます」(齊藤氏)

 ここで重要になってくるのが「水分管理」なのだという。

 「高齢者の方の中にはトイレの失敗が怖いから水分を控える、という人が少なくありませんが、間違いです。水分不足は様々なデメリットを生みます。水分不足は意識レベルの低下を招きます。すると尿意や便意を感じることができなくなって失禁につながる。また便秘の原因にもなる。個々に合った水分量を設定し、きちんと水分を摂ってもらいます」(齋藤氏)

 そのために杜の風・上原では常時50種類のジュースやゼリーなどを用意している。1日3回の食事時はもちろん、朝の起きがけやおやつ時など、それぞれのタイミングでそれぞれの好みに会った水分を提供する。

施設のバックヤード ゼリーからジュースまで豊富なラインナップ
施設のバックヤード ゼリーからジュースまで豊富なラインナップ
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 「適切な水分管理の結果、排便のリズムが安定してくるので、適切なタイミングでトイレにお連れすることができるようになる。あとは、その人の様子をみていると便意・尿意を感じ取ることができる。そのタイミングでトイレにお連れする。同時に歩行トレーニングもやるので、筋力や歩く感覚も戻ってくる。やがて自分でトイレに行けるようになるのです」(齊藤氏)

 もともと誰もが長年トイレを使ってきたはずだ。その感覚に戻ってもらう。これがトイレ訓練の基本だ。