歩行のトレーニング

 ベッドから起き上がり、立ち上がって歩く。ドアを開けてズボンを脱ぎ、便器に座る。トイレに行くという行為はこれだけの運動が必要だ。

 「歩ければオムツは要りません。なのでオムツはずしと歩行練習はセットです。当施設の場合、入居時に歩ける状態の人はおよそ30%ほどです。ところが概ね3ケ月でだいたい歩けるようになります」(齊藤氏)

利用者数に対する歩行率の割合。杜の風・上原 特別養護老人ホーム正吉苑による集計
利用者数に対する歩行率の割合。杜の風・上原 特別養護老人ホーム正吉苑による集計
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 「高齢者が歩けなくなるのは筋肉低下だけでなく、一番の理由は長期間歩かなかったことで『歩き方を忘れている』ことなのです。だからまずは歩いてもらう。歩き方を思い出してもらうことが重要です」(齋藤氏)

 今年83歳の須子田光子さんは4年前に入居したときは車椅子を使っていた。しかし現在はご覧の通り。

楽しそうに歩く須子田光子さん
楽しそうに歩く須子田光子さん
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足の曲げ伸ばし運動は「毎日欠かさずやるのよ」と須子田さん
足の曲げ伸ばし運動は「毎日欠かさずやるのよ」と須子田さん
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 「もちろんトイレも自分でいくしね。お出かけもするんですよ。今日は杖を使ってるけど、具合のいいときは杖もいらない。ここへ来る前は歩けるなんて思ってもなかったですよ」(須子田さん)

 「まずは5秒間、自分の足で立つ練習です。それができるようになったらすぐに歩行の訓練に移ります。これを続けているうちに歩けるようになる」(齊藤氏)