新型コロナウイルスの感染者数が下降傾向になり、峠を超えたのではとの声もある。しかし多くの介護施設ではいまだ面会などに制限を設けている。いつになったらコロナ前に戻れるのか、不安ばかりが募る。そんななか、清掃の力で状況を打開しようとする試みが注目されている。

 千葉県佐倉市にある老人施設『シャロームきこえ』。デイサービスの営業が終わった午後4時、揃いのユニフォームに身を包んだ男性たちがやってきた。彼らはハステックのスタッフ。ハウスクリーニング技能士の資格を持つお掃除のプロ集団だ。

 1987年創業のハステック・グループは、飲食店などのクリーニング業務で実績を上げてきた会社だ。新型コロナ禍で疲弊する各業界の一助になればと、今回新たな取り組みに打って出た。

 ハステッククリーニング事業部の江澤将大氏はこう説明する。

 「コロナ後の世界が見通せない現状で、様々な業態で不安だけが広がっています。なにせ、誰もが未経験のことです。清掃、消毒の方法については政府も指針を出していません。どんなふうに対処すればいいのか、全てが不明確なままなのです。我々は清掃のプロです。その方面からお役に立てることはないかと考え、『除菌清掃』『消毒』『抗菌コーティング施工』の3ステップを踏む清掃プログラムを開発しました」(江澤氏)

ハステック クリーニング事業部の江澤将大氏(写真:末並 俊司、以下同)

 今年の3月下旬からサービスを開始、これまでにのべ1000件以上の現場を施工してきた。

 「飲食店さんや、スポーツジム、劇場関係など、多くのクライアントさんにご利用いただいています。中でも最近増えているのが介護の施設です」(江澤氏)

 取材させていただいた千葉県佐倉市のシャロームきこえは、グループホームや介護付き有料老人ホーム、デイサービスなどがひとつに集まった複合施設だ。この日はデイサービス部分の施工が行われた。

 施設長を先頭に、ハステックのスタッフがデイサービス内を視察する。施設長の説明を聞きながら、清掃、抗菌作業の手順を組み立てるのだ。

 100平方メートルほどの室内に、4人がけのテーブルが4つ、ソファーや大型のテレビ、トイレお風呂、洗面台などが配置される。扉を挟んで、簡単な調理場のスペースがある。一般的な規模のデイサービスだ。ここを3人がかりで清掃、除菌、抗菌コーティングの作業を行う。

 施設長からの説明が終わると、ハステックのスタッフは車から掃除機、ウエス、噴霧器、養生テープなど施工のための道具を手早く運び出す。息のあったチームプレーが見ていて心地いい。