助けが必要な人と助けたい人をつなぐ

 じょさんしGLOBAL Inc.が運営する「じょさんしONLINE」は、妊娠・出産・育児に関する課題解決のため、様々なサービスを提供している。起業の原点は杉浦氏自身がパートナーのオランダ転勤を機に、海外での出産・育児の大変さを実感したことにあった。

 「友人も家族もいないし、予防接種の案内などの公的文書は基本オランダ語。2013年当時はスマホの翻訳アプリもなくて読むのにも一苦労でした。私は助産師なので妊娠・出産の知識は一般の方より持っていますが、それでもオランダでは自宅出産が多いなど、日本と事情が違うので不安でいっぱい。気軽に相談できる相手がいたらと思っていました」

 2016年に帰国した杉浦氏は子育てに奮闘しつつ、「誰かの助けになれば」と妊娠や出産、子育てに関するブログを立ち上げた。最初は軽い気持ちだったが、海外在住の知人の相談などを受けるうちに、居住地によって妊産婦のリスクに違いがある可能性に気づき、現状を知るためにアンケートを実施する。助産師仲間の協力もあって、最終的に312件の回答を得た。その結果、海外にいる場合の産後うつは日本国内と比べてリスクが約5倍と大きな差があり、国内外を対象にしたサービス開発のモチベーションになった。

 「後日、インターネットで産後うつの増加や妊産婦の死因第1位が自死という記事を目にしたときも、ショックというより当然かもしれないと思いました。実際、日本在住の妊産婦・ママさんからの相談も多いです。相談の内容は人それぞれで『授乳の仕方があっているのか分からない』『離乳食を食べてくれない・食べすぎている気がする』という育児に関する質問もあれば、『日本語に飢えているので話がしたい』『ママ友との付き合い方を相談したい』といったものもあります。特に最近はコロナ禍の影響でメンタルの相談が増えましたね」

 この1年半は行政が開催する両親学級などが相次いで中止となり、医療機関に通うのも制限されている。感染リスクは日常に潜み、気晴らしに出かけることも、友人と会食することもままならず、孤独を募らせる妊婦や子育て世帯が多いことは想像に難くない。

 「行政の両親学級も中止になるなかで、私たちには何ができるのか、正直、戸惑いました。それでも困っている方は大勢いるはずだから何かしようとFacebookで呼びかけたところ、その日だけで助産師や理学療法士など80人が集まったんです。最終的にメンバーは200人に達し、2020年4月4日から19日まで、オンラインで無料の両親学級を開催しました」

オンラインセミナーの様子。出産直後の乳児の特徴(写真上)や入浴時の抱き方のコツ(同下)などを、人形を使ってレクチャーしている
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オンラインセミナーの様子。出産直後の乳児の特徴(写真上)や入浴時の抱き方のコツ(同下)などを、人形を使ってレクチャーしている
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