実用化への課題は…

 今後、血液検査を普及、実用化させるには、クリアしなければならない課題もある。その一つが、採血などを行う際のテクニックだ。採血して遠心分離機にかけるだけなのだが、これが思いの外、繊細な作業だという。「血液を抜くときの速度や遠心分離機の角度、時間などでPEAがうまく測定できないことがある。職人レベルのコツの話になるが、誰がやってもちゃんと結果を出せる仕組み作りが必要だと考えている」と川村院長。また、現在はメタボローム解析でPEAを測定しているが、より低コストでできる測定法の開発にも取り組んでいるという。

5mL採血すれば、PEA濃度を測定できる(写真:剣持 悠大、以下同)
採取した血液に抗凝固剤を入れ、遠心分離機にかける
上澄みの血漿を取り出し、チューブに入れてHMTに送付。2週間ほどでPEA濃度がわかる。一連の作業は簡単なように見えて、実は繊細さを要するという

精神疾患は“物質の病気”であり、“体の病気”

 精神疾患は“物質の病気”であり、“体の病気”である──。これは川村院長の持論だという。「“心”という目に見えないもので語るより、体の病気と同じように物質で解き明かしたほうが理解しやすい。精神疾患も体の病気と同じように物質で説明できるようにしたいと考えている」。

 川村院長は細菌学やウイルス学を学び、また心と体の両面を診る心療内科医として研究と治療経験を積んできた。一般の精神科医とは異なる、そのようなキャリアが、「精神疾患を体の病気として捉える」という発想につながったと言えそうだ。川村院長の挑戦はこれからも続く。精神疾患に対するイメージが今後、変わっていくことになるかもしれない。

(タイトル部のImage:剣持 悠大)