「空気で何ができるか」を考える

 同社が今回、空調技術でなく「AirTech」という造語を使うのには理由がある。三谷氏らは、空調機の開発を通してできるようになったことは「意外と少ない」と考えているのだ。

 「ダイキンは空調機を多く造ってきた会社です。では、空調機は何をしてきたかというと、温度・湿度・気流・清浄度の4要素を制御すること。けれども、空気の要素は他にもたくさんあり、それらについて我々は、必ずしも多くの技術を持っているわけではないのです。例えば“におい”。これは空気の大事な要素だけれど、まだまだ社内では知見が足りない。他には気圧も。天気が悪くて気圧が下がると頭痛がするという人がいるように、これも空気の重要な要素です」

 そこで同氏らは、事業の対象を従来の「空調機」から「空気」に拡大し、できることを増やそうと考えた。「AirTech」は、その中で生まれた言葉だ。

 「空気で何ができるかを考えていくと、『空調機』という枠組みでは成し得なかった色々な可能性が広がる。『Air』には、そういう思いを込めているのです。そして、メーカーとして技術という部分は大事にしていきたいので『Tech』を組み合わせました」

図1●「空気で何ができるか」のブレインストーミング。「心が和む」「ホッとする」などリラックスにつながるキーワードや、「若返り」「ダイエット」「認知症予防」などヘルスケア分野のキーワードが多く出された(出所:ダイキン工業)

 事前に社内で実施したブレインストーミングでは、「空気で何ができるか」という問いに対して「頭が冴える」「若返る」「よく眠れる」「おいしい」「心が和む」といったキーワードが出された(図1)。今の技術では実現できないこともあるが、例えば「キレイになる」だったら湿度の調整技術を使えると推測できるように、既存の技術で成し得ることもある。さらに「我々の持っていないものを組み合わせることで、実現できることが増えるのではないか」(同氏)というのが、同社が外部との連携を進める動機となっている。