がん対策推進企業アクションは2021年9月7日、女性特有がんの予防についてオンラインでの啓発セミナーを開催した。背景には、コロナ禍によってがん検診の受診率が大幅に下がり、本来であれば早期発見に至ったがんが見逃されているとの深刻な問題がある。

がん検診で厚生労働省が推奨する5大がんの内訳は、胃、肺、大腸、子宮頸、乳である。つまり、5分の2は女性特有がんが対象となる。講演した東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授の中川恵一氏は、がん治療のエキスパートで、がん対策推進企業アクションのアドバイザリーボード議長を務める。中川氏は「がんは高齢者の病気との認識が強いが、それはおもに男性の場合だ。若い世代では女性のほうが多く、2016年〜2017年の調査では20歳〜39歳のがんは約80%が女性だった」と切り出した。

東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授の中川恵一氏(出所:がん対策推進企業アクション)
東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授の中川恵一氏(出所:がん対策推進企業アクション)
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 乳がんのピークは40代後半、子宮頸がんのピークは30代半ば(いずれも2011年)と、働き盛りの女性が罹患する確率が高い。中川氏によれば、日本における乳がん検診、子宮頸がん検診受診率はOECD加盟の主要国では最下位であり、ともに40%台前半に過ぎない。これはトップを走る米国の約半分となっている。さらに日本対がん協会の調査では、2020年1月〜12月における5大がんの検診受診率がおよそ3割も減少。これは、がん早期発見の機会をコロナ禍が奪ったことを意味する。

 「種類にもよるが、がんは早いもので1年で1〜2センチの大きさになる。その間に発見できれば9割は治るが、昨年は未受診により発見できていない。検診に限らず、感染を気にして病院に行く患者も、手術件数も減少した。いま、多くの日本人の体内で、ひそかにがんが進行していることになる」(中川氏)

OECD加盟の主要国による乳がん、子宮頸がん検診受診率の国際比較(出所:オンラインセミナーのスライド)
OECD加盟の主要国による乳がん、子宮頸がん検診受診率の国際比較(出所:オンラインセミナーのスライド)
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