コロナ禍での興味深い“発見”も

 さらにPSTでは海外への展開も計画しているという。

 「ミモシスは周波数などの生体情報を通して音声分析をしているので、言語に依存しないという特長がある。つまり、日本語だけでなく多言語に対応できる。現在、ヨーロッパなど7カ国での事業展開を準備している」(大塚氏)

 また、2019年からは米国ジョージア州と「クライシス・マネジメント・システム」の共同研究を開始した。ジョージア州では退役軍人のメンタルヘルス不調に伴う自殺率の上昇が社会問題になっており、予防につなげるシステム作りが進められているという。

 「現状では、日本での“命の電話”に相当するクライシス・コールセンターの担当者が、相談者の気分状態や緊急性を判断して対応に当たっている。ここに当社のミモシスの技術を加えることで、自殺予防のシステム向上につなげたい。相談者の気分状態をコンピューターで定量化し、緊急性を適正に判断できるトリアージ手法を目指すべく、共同研究を進めていく」と大塚氏。共同研究には徳野特任教授も参加している。2021年には自殺予防をテーマにした国際会議(Zero Suicide International Summit)が横浜で開催されることも決まったそうだ。

 ただ、今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、海外展開や共同研究などは一時停止を余儀なくされた。しかし、その一方で非常に興味深い“発見”もあったという。

 「新型コロナウイルスの感染が広がる中、スマホで継続的にミモシスを使っている全国のユーザー間で、心の元気度が同時に低下傾向を示すという現象が起きた。このようなことは今回が初めて。いわばコロナ禍によって日本人全体の元気度が落ちたと解釈できる。個人の心の状態だけでなく、マスで見ると日本人全体の心のトレンドまでがわかり、興味深い。詳しく調べて論文にまとめたい」と徳野特任教授は話す。