一括読み取りで入出庫管理、投薬時の「3点照合」も

 5社が開発した仕組みの概要は下図のようになる。

サプライチェーンにおける医薬品情報の流れ。RFIDにより在庫管理など関連業務の省力化と正確なトレーサビリティを実現する(出所:サトーホールディングス)

 まずサプライチェーン上流の資材メーカーは、医薬品のカプセルやボトル自体にRFIDのタグを埋め込む。さらに製薬工場では、それらを梱包する個箱や外箱にもタグを貼り、流通の過程で必要な情報が上書きされていく仕組みだ。

ボトル本体と個装箱、さらに外箱の段ボールにもRFIDのタグを搭載、流通の過程で必要情報が上書きされていく(出所:サトーホールディングス)

 製薬工場からの出荷の際や、物流センターや卸での入出庫・在庫管理に関しては、RFIDによって作業は大幅に短縮・軽減される。従来は、バーコードラベルを1枚1枚読み取っていたため人手と時間を要していた。これに対しRFIDの場合は、タグが貼られた複数の外箱をゲートリーダーに通すことで、一括して読み取ることができる。数十分かかった作業がわずか数秒で済むようになるのだ。

 サプライチェーンの川下に当たる病院や薬局においても、医薬品の個箱やRFIDボトルの読み取り作業が容易になり、人手をかけずに正確で効率的な在庫管理や処方が可能になる。また、RFIDタグに患者情報を入れておけば、医師や看護師はいちいちデータベースにアクセスしなくても情報を確認できる。

 病院では、患者の点滴交換や投薬の際に、いかに誤投与を防ぐかに腐心しているが、RFIDを使えば患者・薬剤・投与者の「3点照合」が無線通信で瞬時に実現。患者と輸液が医師のオーダーと違っている場合、アラートを表示するなどして注意を促す。

病院における患者・薬剤・投与者の3点照合もRFIDラベルで瞬時に可能になり、薬の誤投与を防げる(出所:サトーホールディングス)

 「川上から川下までサプライチェーン全体を視野に入れたシステムだが、RFIDタグのメモリ量は川下までデータを繋いでいけるほど大きくはない。そこで製造番号、使用期限、シリアル番号などの基本情報以外の、例えば投薬管理の情報などはクラウドにデータを上げていく方式を考えている」とマイクロ・テクニカ執行役員第2事業部長の柴崎誠氏は語る。