2030年までに身体不活動の人を15%減らす

 この状態を大きく変えていかなくてはならない、そのためにはパラダイムの転換が必要です。そこでWHOは2018年に、『Global Action Plan on Physical Activity 2018–2030(GAPPA)』を発行し、2030年までに、身体不活動の人を15%減らすことを目標に掲げました。テドロス事務局長がこれを発表し、世界を動かすためには、国の政治的なコミットも必要であることを訴えました。

 2020年1月には、GAPPAの日本語版『身体活動に関する世界行動計画2018–2030─健康的な世界に向けて一人一人よりアクティブに』(※慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター・健康マネジメント研究科が日本運動疫学会の協力を得て作成)も発行されました。

 GAPPAでは、身体活動をより効果的に推進していくために、4つの大きな戦略目標を定めています。(1)アクティブな社会を創造、(2)アクティブな環境を創造、(3)アクティブな人々を育む、(4)アクティブなシステムを創造──です。

 具体的な例でご説明します。国を挙げて身体活動を普及していくためには、まず社会における新しい規範が必要ですし、そのためには教育も不可欠です。最近では、フランスやインド、ジャマイカなどで、政治家がリードして、自転車や歩くことをプロモートするキャンペーンを行いました。

(出所:講演時のスライド)

 こうしたキャンペーンでは、今、人々があまり動かないのはなぜかというところから理解を促し、その上で歩きやすい、自転車に乗りやすい場所を整えるという環境づくりも含めて行うことがポイントになります。欧州では比較的整備が進んでいますが、都市を再設計して、歩道と自転車道を併存させるといったモビリティシステムの導入も進めていくべきです。