思わず自転車に乗りたくなる街づくりも

 例えば、コロンビアの首都ボゴタでは、平日のメインストリートは多くの車、タクシー、バスがひしめきますが、日曜日・祝日の朝7時から14時までは、大通りとハイウェイで車両の乗り入れが禁止になります。市民に広く開放される「シクロビア(自転車道)」になるのです。

(出所:講演時のスライド)

 その広さは全長170Kmにもなり、スポーツ嫌いの人でも思わず自転車で走りたくなる場所として、注目を集めています。もちろん国によって規模をもう少し小さくしてもいいかもしれませんが、多くの市民の身体活動を自然に促す街づくりの一つのロールモデルと言えるでしょう。

 ただ、こうして社会の規範を変え、環境を整えるだけでは、十分ではありません。人々のモチベーションを高め、巻き込んでいく仕掛けも重要です。ビジネスパーソンには、仕事中の座り時間を減らし、ランチタイムには歩いて食事に行き、階段をもっと使ってもらうように呼び掛けましょう。また、学校教育では、徒競走など競技のプログラムのみならず、運動が苦手な人でも参加できるようなプログラムも提供すべきでしょう。

補足情報:
英国ではこんな事例がある。身体活動におけるジェンダーギャップを埋めるために、2015年から「This girl can」というキャンペーンを展開。女性が運動を避けている理由の一つに、動いている自分の外見に自信がないという意見があったリサーチ結果を踏まえ、あえて少し肥満気味の女性たちをモデルに、女性たちが活発に走ったり、運動している動画などを制作してプロモーションを行った。その結果、SNSなどで大きな反響を呼び、キャンペーンを開始してからわずか1年で、14~40歳の280万人の女性たちが実際に行動を変えたという。

 もう一つ、重要な戦略目標があります。国、地方、自治体ごとの高度なガバナンスを実現するシステムです。最新の研究や、データの測定・モニタリング、アクションプランなどの様々なリソースをうまく活用し、コーディネートするシステム、分野横断のリーダーシップ・意思決定、パートナーシップやコラボレーションがとても重要になります。

 アクティブな社会・環境・人々・システムという4つの戦略目標はそれぞれが単体で動くものではありません。これらの戦略目標には合計20の具体的な政策措置が紐づけられています。

(出所:慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター・健康マネジメント研究科 小熊祐子准教授)

 4つの戦略目標と20の政策措置のそれぞれが相互に関連し合って包括的に動くことによって、身体活動の推進が達成できると考えています。