「国、県にもお金を出してもらわにゃやれんだわ」

 「ずっと元気!プロジェクト」は市内に住む65歳以上の人たちの健康寿命を伸ばす取り組みだ。丹羽さんは次のように説明する。

 「同プロジェクトは当初、豊田市が財源を用意するタイプのソーシャル・インパクト・ボンドで運営することを考えていました。しかしそれでは財源面の論理に齟齬が生じるという指摘が噴出したのです」

 健康寿命を伸ばす取り組みの根幹は医療や介護の分野だ。丹羽さんたち企画側が描いた青写真はこうだ。

 〈市が5億円の財源を用意し、プロジェクトを遂行すれば、結果として市内シニアの健康寿命が伸び、10億円分の介護費の削減効果がある〉

 ところがことはそんなに単純ではなかった。

 「介護は市民から集めた保険料で成り立つものです。介護保険は1~3割が自己負担です。つまりそれ以外は公費が入っているということ。ざっくり説明すると、介護にかかる保険給付金の負担は市民が2分の1、国が4分の1、県が8分の1で、市が8分の1という内訳になるのです。プロジェクトを遂行することで将来の介護にかかる財政負担が10億円分浮くといっても、市の財政の圧縮効果はそのうちの8分の1ということ。10億円の12.5%の範囲内でしか効果がないということなのです」(丹羽さん)

 つまり、豊田市が5億まるまる出すのでは割が合わない。

 「“国、県にもお金を出してもらわにゃやれんだわ(三河弁)”って事になりまして」

 丹羽さんは苦笑いする。