厚生労働省を舞台に、コロナ禍の特例措置として認められている初診からのオンライン診療の恒久化に向けた議論が進んでいる。初診は過去に受診歴のある「かかりつけ医」を原則としつつ、一定の条件のもと、かかりつけ医以外も認める方向だ。もっとも、初診からのオンライン診療に適さない症状・医薬品等や対面診療との適切な組み合わせに十分配慮する必要がある。

オンライン診療の普及に向けてカギを握るのは、治療の均てん化を目指した、オンライン診療用の治療計画(オンライン診療パス)。日本循環器学会フェローで、国際医療福祉大学大学院医学研究科循環器内科学教授の岸拓弥氏はこのほど「パンデミック時代の心不全予防のための治療計画(オンライン版)」をテーマに「試案」を作成。オンライン開催される「日経クロスヘルスEXPO 2021」内のセッションで披露する(10月22日(金)15:40~17:00、受講料無料)。そこではあわせて、様々な関係者が集い、議論を深める予定だ。セッション開催に先立ち、岸氏にオンライン診療パス作成の狙いを聞いた。

国際医療福祉大学大学院医学研究科循環器内科学教授の岸 拓弥氏(写真:諸石 信)
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国際医療福祉大学大学院医学研究科循環器内科学教授の岸 拓弥氏(写真:諸石 信)

 日本のオンライン診療は遅々として進んでいない。海外ではコロナ禍を契機に医療のデジタル化が進み、オンライン診療が急拡大しているというが、日本では状況は大きく変わっていない。

 ただし、日本でも患者の選択肢を増やしたり、効率的な医療を提供したりする意味で、オンライン診療の必要性が叫ばれており、医療者の多くも重要であることは認識している。

 それでも進まないのはなぜか。おそらく「オンライン診療は大事」というところで話が終わってしまっているから。できていない理由から目を背けているのでは、と感じている。

 オンライン診療に関して、厚生労働省がイニシアティブをとって先頭で引っ張ってくれていないのが問題、いや、学会が方針を定めていないのが悪い、そもそも現場が導入に後ろ向きだったり慎重なのでは──といった声が聞かれる。つまり、どこかみな他人任せになってしまっている。

 今回オンライン診療パスの試案を作ったのは、現在のような状態が動き出せばいいとの思いから。パス試案は不完全なもので、他の登壇者である厚生労働省や日本高血圧学会、日本糖尿病学会、医療機器メーカーの関係者からは辛辣な意見が寄せられることにもなるだろう。そんな中、ディスカッションを通じて、現状のオンライン診療の普及に向けた課題も浮き彫りにして、ではどういう解決方法があるのか、そのための役割分担はどうすればいいのか、さらには実際にどんな工程で今後進めるべきなのかまで探っていきたい。