イベントの盛り上がりを経て継続的な活動に

 スナック都ろ美が初めてオープンしたのは2019年8月のこと。永峰さんの子どもが通う特別支援学校、東京都立府中けやきの森学園で行われた「特特祭(とくとくさい)」内の催し物としてスタートした。

 この特特祭は、「特別支援学校に通う子どもと家族が『特別おもしろい未来』を見いだせるようなヒントを提供する」ことを掲げたイベント。企画立案に加わっていた永峰さんは、「特別支援学校はどうしても一般社会とは縁遠くなりがち。そこで、1つの特別支援学校、あるいは特別支援学校という枠にとらわれず、企業なども巻き込みながら、オープンで楽しい、未来志向のお祭りにしようと考えた」とその趣旨を語る。

 ミズノやユナイテッドアローズなど、インクルーシブデザインに関心を持つ複数の企業や団体の協力も得た。インクルーシブデザインとは、高齢者や障害者など平均的ではないユーザーを取り込むことで、革新的な企画を狙う手法のこと。新しい車椅子のトレンドを「特別おもしろい乗り物」として紹介するブースや、身体機能を求められない「ゆるスポーツ」を体験できる「特別おもしろいスポーツ」ブース、さらにはファッションやディスコまで、多様なブースや企画を用意した。

 こうした工夫がヒットし、300枚のチケットは発売開始後、約半日で売り切れた。当日はヘルパーを含めて約500人が来場。永峰さんは「皆さんの多くは自家用車で来られるので、当日は駐車スペースの整理に非常に苦労した」と明かす。

 その特特祭の催し物として提示したのが、前述のスナック都ろ美。「ユニバーサルスナック」を掲げたスナック都ろ美では、「にぎらな寿司」など嚥下機能に配慮した新型フードの試食や、とろみ調理器(自動販売機運営大手のアペックス製)を使ったとろみ付きのドリンクを提供した(にぎらな寿司については後述)。提供した食事は、子どもたちが顔をほころばせたのはもちろん、家族もおしなべて美味しいと口にしたという。

 加藤さんと永峰さんは特特祭とスナック都ろ美ブースでの体験を通じて、「お互いの苦労や悩みに共感しつつも、深刻になりすぎずに、病気や障害との付き合い方や、社会を前向きに変える方法を楽しく考えていくことの大切さを実感した」と口をそろえる。

 スナック都ろ美というゆるいコンセプトが好評だったこともあり、特特祭からスピンアウトさせて、活動を継続させることになった。