“スナック”に持ち寄られた意見をアイデアとして提示

 永峰さんは、このほか大手外食チェーン・サイゼリヤのメニューである「ミラノ風ドリア」も重宝していると話す。ドリアを子どもと自分の分のそれぞれを頼んだ上で、子どものドリアにはお冷やの氷を数個入れて、軟らかくしながら食べさせているという。

 「嚥下障害の子どもを持つ母親と話していて共通するのは、食事にかける手間のこと。食べさせていたら1日が終わった、というほどに時間がかかることもままある。外食店でこのようなメニューがあると、食べさせる手間が軽減できて非常にありがたい。スナック都ろ美では、このようなちょっとした情報を交換している」(永峰さん)

 スナック都ろ美では今後「インクルーシブフード」と「誰もが外食を楽しめる世界」を掲げ、嚥下障害のある・なしに関わらず楽しめる食品およびレシピの開発と普及を目指していく。

 ある大手外食チェーンはスナック都ろ美が掲げるインクルーシブフードの概念に興味を示しており、商品開発プロジェクトの目玉として嚥下に配慮したラインアップを組み込めないか検討中という。また、大手旅行会社に対しては嚥下障害のある子どもや高齢者が家族と一緒に旅行できる“インクルーシブツアー”の企画を提案している。

 活動の発端について加藤さんは「(嚥下障害をもつ子どもを持った)私たちも、普通に外出や旅が楽しめる世の中を作りたいという思いが原点だった」と説明する。また「超高齢社会を迎えようとする中、嚥下機能に配慮した食品やレストランが増えれば、社会全体にチャンスが増えるのではないか」と見る。

 嚥下に配慮が必要な高齢者でも安心して外出できる環境が整えば、経済はもちろん健康増進にもプラスに働く。また、嚥下障害を持つ子どもが積極的に食べられる食事は、高齢者はもちろん、離乳食として、あるいはファスティングダイエットの回復食としても転用できそうだ。

 「にぎらな寿司も、むせないケーキも、普通に美味しいし食感が楽しい。スナック都ろ美としては、街角でおしゃれな食事としてインクルーシブフードが売られるようになるのが理想だ。普通の人が食べるものとして普及することで、障害や病気に対する理解が自然に広がっていくのではないか」(加藤さん)

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