福祉を学ぶ高校生が老人介護の技術を競う「第8回 全国高校生介護技術コンテスト」の決勝戦が2019年10月23日、新潟県朱鷺メッセにて行われた。全国の各地域から予選を勝ち上がってきた精鋭12校が火花を散らした。介護における人材不足が叫ばれる昨今、高校生たちの「本気」の姿勢の向こうにある将来の介護人材問題について考える。

 1チーム3人編成の12チーム。総勢36人の高校生介護士たち。会場に制服姿で集まってきた彼らの横顔には、やはり幼さが残る。ところが開会式の時間になり、揃いのウェアに着替えて会場入りした彼らの印象は全く違った。表情まで引き締まり、介護の担い手としての責任感がみなぎっていた。

 周知のように、我が国は超高齢化社会に突入している。65歳以上の方は年々増え、団塊の世代が全員後期高齢者になる2025年には3600万人を超える。ピークの2042年にはざっと4000万人が65歳以上となる計算だ。

 その頃には認知症の有病者が800万~900万人にのぼると厚労省は試算し、介護を担う人材は40万人以上が不足すると危機感をつのらせている。外国人労働者の受け入れや、潜在的な人材の掘り起こし、職場定着を促す工夫など、国をあげて様々な手を打ち、人材の確保に躍起だ。

 我が国の介護は、基本的に介護保険サービスによって支えられており、介護士たちの賃金も多くはここから支払われる。介護保険制度がスタートしたのは今から19年前の2000年だ。コンテストに集まった高校生たちはちょうど制度がスタートした頃に生まれた人材である。

「第8回 全国高校生介護技術コンテスト」の決勝戦に臨んだ面々(写真:末並 俊司、以下同)

高校生たちにとって、介護は遠い将来のものではない

 介護保険制度は第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)に分けられる。第1号被保険者は原因を問わず、要介護認定を受けることで介護保険サービスを受けることができる。第2号被保険者はがんや脳血管疾患など国の定めた16の特定疾患と診断されたときのみ介護保険サービスが使える。介護保険料の支払いは40歳からスタートだ。

 つまり、今の高校生は生まれたときから介護保険制度があり、彼らが第2号被保険者となり介護保険料の支払い義務が生じる2042年前後に日本の老人の数はピークを迎えるということだ。高校生たちにとって、介護は遠い将来のものではなく、今目の前にある問題といえる。

 コンテストの課題に取り組む彼らの真剣な眼差しは、今後のそうした問題を見据えているようで頼もしい限りだった。