機械学習で最適を選び出す

 そこで登場するのが機械学習。人間もかなわない囲碁ソフトなどはこの技術が使われている。

 「例えばコンピューターにいろいろな写真を見せて、そのなかから猫を選ばせるとします。そのためには『猫とはどういう動物なのか』をコンピューターに学習させなければならない。最初は『ヒゲがある』とか『毛がモサモサしている』とか、猫の特徴を覚えさせます。

 こうした条件を手がかりにまずはコンピューターに選ばせる。でも最初は間違えます。犬やネズミを選んでくるかもしれない。そこで『これは違うよ』と間違いを指摘するのです。これを繰り返したあとに機械同士で『強化学習』させ、精度を高めていくわけです。地図の最適ルートも基本的にはこの技術を使います」

 同社がコンピューターによる配送計画のサービスを始めたのは2008年のこと。富山市内にある生協の「悩み」がきっかけだった。かつて生協は、会員制の宅配サービスが事業の大きな柱となっていた。地域ごとに会員グループで品物を一括注文し、定期的に配達するサービスだ。

 ただ、時代は変わり、共働き家庭が増加し、昼間の時間帯に自宅に人がいないといったことも増えてきた。また、近所にひと通り揃うスパーマーケットができるなど、社会のお買い物事情が変化してきた。そうしたこともあって、会員の出入りが激しくなり、おかげでルート配送がより複雑になってきたのだった。以前は住宅地図を広げてコースを検討していたというが、それでは追いつかなくなってしまった。

 そうした悩みを知った湯浅氏がコンピューター上でコースを瞬時に割り出すシステムの研究を始めた。

 「今では電力会社さんにも使っていただいています。各地にある鉄塔のメンテナンスのためのコース作りなのですが、これも広範囲に複数の鉄塔があるので、人力で最適コースを割り出すのは難しい。私どものシステムを使えば手間と時間が大きく圧縮できます」