「感情」にまで目を配る

 介護の現場を取材しているとよく耳にするのが「AさんはBさんとあまり仲がよくないから。食事のときのテーブルは離してください」といった指示だ。人間は年齢を重ねていくうちにまるく穏やかになり、どんな人ともうまく関係を築く知恵を身につける……と思いがちだが、現実はさにあらず。

 歳を取るにしたがって頑固になっていく人もけっこう多い。そうでなくても、人間誰しも「苦手な人」はいるものだ。そのような場合のために、GeoRouterCareには条件設定の欄に「同乗制限」という項目が用意されている。

 「ここばかり大きく取り上げられるのは本意ではないのですが」と苦笑しつつ、湯浅氏は次のように説明してくれた。

 「例えばAさんという方がいらっしゃったとして、この方がFさんとうまくやっていけない場合は、Aさんの『同乗制限』の部分のFさんの番号を記入するわけです。こうすることで、AさんとFさんが同じクルマに乗らなくてすむようにシミュレーションしてくれるということ」

GeoRouterCareのデモ画面。条件は一度入力すれば シュミレーションごとに反映されるし、随時変更も可能

 特定の施設に長年勤務し、利用者の特性や住んでいる場所、地域の交通量、道の広さなどを把握しているベテランであれば、最適ルートを提示するのにさほど時間を使わないだろう。しかし、ベテラン職員が毎日いるとは限らない。テクノロジーの力を借りることで埋められる穴であればどんどん埋めていきたいものだ。

 同社はGeoRouterCareの簡易版とも言えるサービス「ぐるっと」を無料で提供している。旅先などで効率よく観光地を回りたい場合などに便利だ。

「ぐるっと」のデモ画面

 パソコンやスマホから登録したのち、Excelファイルなどを元に「施設名」「住所」「滞在時間」を登録すれば最大10件まで無料で最良の一筆書きコースを作り出してくれる。興味のある方は試してみるといいだろう。

 地図は情報の宝庫だ。これがなければ社会が成り立たないといっても言い過ぎではないだろう。ただ、誰もが最大限活用できているかとなると疑問だ。GeoRouterCareは、地図にその他の情報を注ぎ込むことで、全く新しく、そして有意義な使い方を提示してくれる。

 介護と地図は意外な組み合わせだが、こうした視点が未来の地図を書き換える手がかりになりそうだ。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)