立ちはだかる壁は「人材と資金」

 後半はサイアス代表取締役の等 泰道氏がモデレーターとなり、パネルディスカッションを実施した。「起業にあたっての苦労、課題と感じることは?」との質問については、4社とも共通して“人材と資金”を課題として挙げた。

後半のパネルディスカッションの様子。左上がモデレーターを務めたサイアス代表取締役の等 泰道氏

 「研究は順調に進んでいるが、この5月に起業したばかりなので経営を勉強している最中。早くもお金と人の壁を痛感している」(喜早氏)

 「特殊かつ高度なハードウエアなので、試作機を作る段階でも数百万円、数千万円かかる。人材面でも限られたリソースをどの市場に向けて開発を進めていけばいいかがまだ絞りきれてない」(若松氏)

 「世の中にはまだiPS細胞を使ったプロダクトが1つも出ていない。再生医療も創薬もそうだが、本当にiPS細胞の技術が使えるのかが証明されていない。しかし、その証明をするためにやはり資金と技術的なパートナーシップが必要。まるで鶏と卵のような問題がつきまとっている」(伊藤氏)

 「お金と人に関しては避けては通れない。だが先を見据えてAIのデータベースを作りたいとの思いがある。スタートアップならではのスピード感を生かしていければ」(小川氏)

 次の質問は「研究者や医師であるのにどうして起業に至ったのか」。喜早氏は、マウスでの有効性を発見したのが自分自身だったとした上で、「この技術を患者の皆さんに届けられるところまで持っていきたいとの気持ちから代表取締役に立候補した」とモチベーションを語った。

 若松氏は産学連携事業を支援する活動の中で椎名先生と出会い、優れた技術シーズをアカデミックな研究にとどめず、世の中に出して発展させたいとの思いでPhoto Soni Techに参画した。

 これまでに理研やエーザイ、デロイト トーマツ コンサルティングなどを渡り歩いた伊藤氏は「産業化するためには技術もビジネスも知っている人間が必須。私自身が両方の橋渡しをしたいと考えた」ことが大きいという。

 小川氏は「起業はあくまでも手段の1つ。目的達成のためには、会社を作ることが最短の道だと気づいた。なぜなら医療機器は10億円単位の資金が必要となるからだ」と話した。

 メディカルバイオ分野はウェットラボが必須で参入障壁が高い。その点ではヘルステック業界に比べて競争相手が少ないとも言えるが、地道で長期的な研究開発が大前提となる。国内でもトップレベルのIHKから芽生えつつあるこれらの技術が、しっかりと花開くことを期待したい。

(タイトル部のImage:オンラインセミナーのキャプチャ)