多数の検体を持つデンマークのバイオバンクと提携

 医療分野でのAIプロテオミクスの実用化に向け、aiwellは現在、多様な疾患別の画像蓄積に着手している。

 敗血症の診断実績から、AIを使えば40症例程度の画像データで高精度の診断が可能だと見込んでいる。そのためには、疾患と紐づいた多くの血液検体が必要になる。そこで同社が目をつけたのが、540万人分もの検体が保管されているデンマークのバイオバンクだ。

 生まれてから亡くなるまで時系列で健康状態を追える検体も多く、例えば若年性認知症に罹った人はいつどのたんぱく質に変異が起こっていたか、その人の実際の病歴とプロテオミクス画像を照らし合わせることでわかる可能性がある。デンマーク大使館の全面的なバックアップを得て現地に支社を立ち上げ、産学連携も視野に入れて画像蓄積の準備を進めている。

 創薬や予防医療という主軸事業の一連の準備にかかる資金調達の一環として同社では、今までの研究成果を事業化し、そこで得た収益を研究や設備投資に回している。

 例えば、化粧品の成分が実際に皮膚にどのような変化をもたらしているかをプロテオミクスで見える化し、確認できれば、メーカーにとっては、その成分の強力なエビデンスになる。畜産物や養殖魚のプロテオミクス解析をすれば、いつどのタイミングでどんな餌を与えれば品質が向上するか、計画を立てる際の有用な情報となる。アロマやマッサージなどのいわゆる民間療法やサプリメント、今はエビデンスが乏しいとされているケア方法についても、プロテオミクスで実際に、それをとりいれた人の生体に変化があらわれていることが確認できれば、有効性の証明につながる可能性が出てくる。

プロテオミクスの活用で、予定している事業の一例

・肩こり、腰痛の評価とその処置に対するマッサージ、鍼灸などの効能評価(製薬メーカー)

  • →痛みなどの症状に関わるたんぱく質を特定し、施術による変化を見て、効果の有無を判断。エビデンスを得る。

・化粧品原材料の効果効能判断(化粧品メーカー)

  • →一例として、しみやしわなどの皮膚のダメージに関わるたんぱく質を特定し、化粧品の成分が実際にそのたんぱく質にもたらす変化をデータ化し、エビデンスを得る。

・母乳の成分評価と子どもに対する影響評価(食品メーカー)

  • →母乳を与えた子どもの成長に関わるたんぱく質を特定し、粉ミルクの場合と比較。商品開発につなげる。

・ペットサプリメントの効果効能(食品メーカー)

  • →サプリメントを与えた場合の、ペット体内のたんぱく質の変化をデータ化し、実際に効いているかどうかなどの判断材料にする。