介護業界の新5Kとは

 ここまで見てきたゆめパラティースの取り組みだが、導入しているロボットはひろちゃんだけではない。玄関の入り口近くにはセラピー用アザラシ型ロボットの「パロ」がつぶらな瞳で迎えてくれるし、各階では移乗のためのリフト型のロボットも稼働している。

玄関先ではアザラシ型ロボットのパロが迎えてくれた

 「私どもの法人は、10年以上前から福祉先進国であるフィンランドとの交流を行っています。北欧は身体が大きい方がたくさんいらっしゃるということもあるのだと思いますが、介護現場でのロボットの導入が日本よりもずっと進んでいます。現地の視察を行った理事長が、『日本でもこうしたものをどんどん導入すべきだ』と考え、2014年に立ち上げたゆめパラティースにもその考えが反映されています」(藤本氏)

 パラティースはフィンランド語で「楽園」という意味なのだという。

 併設するデイサービスでは北欧生まれのロープを使ったリハビリ器具が活躍する。また移乗や入浴でもロボットの手を借りる場面も多いが、人間同士のコミュニケーションを排除することなく、きめ細かな声掛けや見守りを行う。施設全体が北欧と日本の介護文化の融合体として機能している印象だ。

北欧生まれ、ロープを使ったリハビリ器具

 「私どもの法人の目標のひとつに『きれい』『かっこいい』『給料が高い』『健康になる』『感謝される』の5Kを実現したいというものがあります」(久保田氏)

 各種ロボットの導入もこれを実現するための布石のひとつだろう。

 しかしもちろん、全ての場面でロボットが取って代わることができるわけではない。介護の現場は今までもこれからも「人の、人による、人のための」仕事だ。ただ、それだけでは立ち行かなくなってきている現実もある。最先端のロボットを導入することで現場に笑顔が増えればそれに越したことはないのかもしれない。

(タイトル部のImage:末並 俊司)