血液などからがんを診断する、新たながんスクリーニング技術の開発が活発だ。患者にとって負担が少なく、より早期にがんを発見する方法として大きな注目を集めている。その一つとして、日立製作所は尿検体を用いたがん検出技術の開発を進めている。今後、実用化に向けた検証や事業モデルの構築を進める考えだ。

 日立製作所が開発を進めているのは、尿中の「代謝物」を網羅的に解析することで、がんを見つけ出そうという技術である。代謝物は、たんぱく質の働きによって生体内で日々つくられている物質。遺伝子を網羅的に解析する「ゲノミクス」に対して、代謝物を網羅的に解析する「メタボロミクス」という分野も近年注目を集めている。

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 代謝物からがんの判定ができるのは、がん細胞から分泌される物質にがん細胞の特徴を反映した変化が現れるためだという。細胞はがん化すると、「myc」や「ras」と呼ばれるがん遺伝子が活性化したり、逆に「P53」というがん抑制遺伝子が不活性化したりする変化が起こる。この他にも「DNAメチル化」のような変化もあり、細胞からの分泌物の増減が見られると考えられている。

 こうした点に着目し、日立製作所は特に尿の中の代謝物からその変化を見いだそうと発想した。「血液で検査する方法は、血液採取のために医療機関に赴く必要があるが、尿であれば自宅で簡単に採取できる。しかも繰り返し検査ができるため、精度を高められるメリットもある」。同社 研究開発グループ 基礎研究センタ 主任研究員の石垣隆士氏はこう話す。