「遺伝性単因子疾患のブレークスルー技術になり得る」

 ヒトの体は、約200種類、全体で37兆個以上の細胞から構成されているが、元はたった一つの受精卵からできており、同じ設計図(DNA)を持っている。DNAには塩基対が約3億個あり、約2万個の遺伝子がコードされている。特定の遺伝子がオンなのかオフなのかにより異なるタンパク質に翻訳されるため、形状や機能が異なった細胞が生み出される。

 遺伝性の単因子疾患には、この遺伝子オン・オフ機能に異常を来しているものが少なくない。コード部分にエラーがあり異常な細胞が出てきてしまうケース、また本来オンになるべき所でオフになって機能が欠失しているケースがある。さらに、本来オフになるべき所で誤ってオンになるケースもあり、細胞増殖に関わる遺伝子がどこまでもオフにならないことで生じるがんは、その典型例である。

 森田氏は、「我々が開発中のゲノム編集を応用した遺伝子治療は、いったんある疾患にその方法論が使えると、他疾患にも容易に転用しやすい。遺伝性の単因子疾患のブレイクスルー技術になり得る」と自信をのぞかせる。

 約7000あるとされる遺伝子疾患の半数が単因子疾患で、そのうち20ほどを創薬のターゲットに据えている。既に国内外の大手製薬企業と共同で、筋肉や神経、中枢系の疾患など、特定の遺伝子が原因で起こる難病について、複数のパイプライン(開発中の薬品)を同時並行で進めている。また、モダリスが単独で独自で新薬開発に挑んでいる疾患もある。患者数が少ない希少疾患であれば、ベンチャー企業でも製薬まで手掛けることが可能だとされる。

 モダリスは、米ボストン市にラボを構え、医師資格を持ち製薬企業出身の山形哲也氏が率いるハーバード大学出身者を中心とした多国籍の研究チームが、ゲノム編集技術の改良を続けている。