複数の通行人が行き交う大通り。監視カメラを通して通行人の全ての顔をAIが認識し、瞬時のうちにターゲットを割り出す。ハリウッドのスパイ映画などでお決まりのシーンだ。あれは絵空事ではない。すでに同等の技術が開発され、一部で運用されているという。トップランナーは米国と中国だが、我が日本勢だって負けてはいない。囲碁AIで世界一を目指す「トリプルアイズ」は同社独自の技術を駆使し、顔認証の分野で革命を起こそうとしている。同社代表の福原智氏が語る。

 囲碁AIと顔認証。技術音痴の筆者には二つのつながりがイメージできない。ところがトリプルアイズのエンジニアにして代表取締役の福原智氏は「基本的に同じですよ」という。

トリプルアイズ代表の福原智氏(写真:末並 俊司)

 同社は2016年からディープラーニングの技術を用い、囲碁ソフトや顔認証システムなど、様々な商品を世に送り出している。

 「囲碁の方は19×19の361ポイントの候補手(選択肢)の中からどれが優位なのかを、盤面を画像として認識することで判断します。顔認証だって、囲碁の盤面と同じ。複数のポイントを総合的に捉え、その違いで個人を特定します」(福原氏、以下「」内は全て同じ)

 福原氏の説明を大意要約すると次のようになる。

 Googleの開発したAlpha碁などがどんどん強くなっていく仕組みにはディープラーニングの技術が使われている。最初はコンピューターに囲碁のルールを覚えさせ、勝ち負けの仕組みを教える。さらに、既存の棋譜からどういった手が優勢なのかを教え込む。

 次にどんな手を打つかを決める「ポリシーネットワーク」と局面ごとに勝ち負けを判定する「バリューネットワーク」という二つの技術を使い、有効である可能性の高い手を評価しながら強くさせていく。

 「いわゆる『ディープラーニング』のひとつです。ごく簡単に説明すると、以前の計算は100かゼロかで判断していた。次の1手を考えるとき、100%正しい判断はまだ難しい。考えうるなかでもっとも正しいだろうという段階で判断を下していくのが今の技術です」

 「だからこそ、顔認証ができるのです」と福原氏はいう。