患者のスマートフォンを最大限に生かす──。そんなコンセプトに基づいた“次世代スマートクリニック”が、東京都港区のオフィス街のど真ん中に誕生した。2019年10月にリニューアル開院した「チームメディカルクリニック」である。仕掛けたのは、ヘルスケアICTベンチャーのアルムだ。資本提携する医療法人 天太会とともに、次世代のクリニック像を形づくろうとした試みである。

同社は、国内初の保険適用アプリ「Join」を手掛けたことで知られる。Joinは医療関係者間のコミュニケーションアプリ。今回のクリニックでは、このJoinや同じく同社が手掛ける救命・救急補助アプリ「MySOS」を活用する。10社以上の医療ICTツールを用いて、業務効率化とペーパーレスを徹底。患者が予約・受付・支払に加えて、健診結果などを自身のスマホで管理できる環境を整備した。さらには、クリニックが取得したデータを患者に戻すだけでなく、未病対策サービスとつなげていくことも視野に入れる。

アルム 代表取締役社長の坂野氏(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

スマホを使いこなす社会人がそのままの感覚でクリニックに

 チームメディカルクリニックが立地するのは、霞が関官庁街も近い日本を代表するオフィス街の一つである虎ノ門エリア。忙しく働くビジネスパーソンが仕事の合間をぬって診察に訪れたり、人間ドックを受診したりすることを想定した。そうしたビジネスパーソンに向け、同クリニックが目指したのは、「オフィス街の新基準クリニック」だと医療法人天太会 理事長の小橋大恵氏は言う。

天太会 理事長の小橋氏

 「電子カルテや健診システムなどの導入は進んだとはいえ、クリニックのオペレーションは紙を多用した旧態依然のまま。患者は受付で問診票に手書きで記入したり、健診結果などを紙で受け取ったりしている。仕事などで日常的にスマホを使いこなしているビジネスパーソンにとって、従来のクリニックは実に不便で日常と切り離されたシステムで動いているというイメージが強い。そういう人たちが生活の一部として、自分の健康を把握・維持し、治療する場所に相応しい新基準のクリニックをつくろうと考えた」。