食事や睡眠、運動を改善する技術は日々進化しているが、その技術を「使い続けてもらう」ためにはどうすればいいのか――。「HIMSS & Health 2.0 Japan 2019」(2019年12月9~10日に東京都内で開催)で実施されたセッション「食・眠・動 ~日常生活を変革するテクノロジー~」では、そんな議論が展開された。

 モデレーターを務めたのは、メドピア/HIMSS & Health 2.0 Japan 統括ディレクターの上田悠理氏。パネリストには、no new folk studio 代表取締役の菊川裕也氏、スギ薬局 経営企画本部 セルフケア推進室 室長の増田瞬氏、Suggestic社 Co-Founder & CEOのVictor Chapela氏とともに、RIZAP 教育開発部 法人プログラム ユニット長の松崎主税氏を加えた4人が登壇した。

無意識領域のデータ化が健康アクセスのカギ

 「人は“歩行の記録を取っている”ということを意識すると、快活に歩こうとする傾向がある」。センサー内蔵のスマートフットウェアを開発するスタートアップであるno new folk studioの菊川氏はそう語る。

no new folk studio 代表取締役の菊川裕也氏(写真:近藤 寿成、以下同)

 つまり、「日常の無意識な部分までデータにすることが、健康にアクセスする際には重要ではないか」というのが、菊川氏の考えだ。同氏が毎日当たり前のように履く靴に大きなポテンシャルを感じているのはそのためで、いずれは「スマホなどによる操作も不要になり、普通に生活しているだけで様々なデータが得られるようになる」という未来像を描く。

 「意識することによる行動変容」は、パーソナル・トレーニングジムなどを展開するRIZAPがまさに得意とする領域だ。同社の松崎氏は、行動変容における3つのポイントを挙げる。

RIZAP 教育開発部 法人プログラム ユニット長の松崎主税氏

 第1は「結果を出す」、第2は「知りたい欲求」、第3は「情報などの可視化」である。「結果が出ればもっとやりたくなり、やりたければやり方を知りたくなる。そして、やったことが可視化されていく」(同氏)。

「食事に対する個別化がもっと必要に」

 Chapela氏がCEOを務めるSuggestic社では、家庭でのメニューガイドや適切なレストランをAIで提案する機能を備えた栄養指導アプリ「Suggestic - Precision Eating」を提供している。「ユーザーの身体が必要としているもの」を提案するとともに、「個人の食の好み」まで反映できる。

Suggestic社 Co-Founder & CEOのVictor Chapela氏

 Chapela氏は、日本からの問い合わせが多いことなど、日本人の「食事に対する関心の高さ」に着目しているという。今後は「食事に対する個別化がもっと必要になるだろう」(同氏)とした。

 スギ薬局は2019年3月に歩数計アプリ「スギサポ walk」の展開を開始した。今後は、ユーザーに対して「食事にもアプローチしてもらえるように取り組む」(同社の増田氏)と意欲を見せる。画像解析や管理栄養士によるパーソナルなコーチングを提供していくことで「食事に興味を持ってもらうとともに、別サービスへの展開や店舗への送客にもつなげていく」(同氏)とした。

スギ薬局 経営企画本部 セルフケア推進室 室長の増田瞬氏

 モデレーターの上田氏は、生活習慣の改善に対して「これまで以上のアプローチを実現するためには、他社やアカデミアなどとのコラボレーションも重要になる」と指摘。単体で実現できることは限られることから、多くの企業や研究機関などの参画を呼び掛け、セッションを締めくくった。

メドピア/HIMSS & Health 2.0 Japan 統括ディレクターの上田悠理氏


(タイトル部のImage:近藤 寿成)