隆起型病変の検出は「熟練医と同等のレベル」

 今回、医療機器承認を取得するに当たって性能評価試験を実施した。試験ではAIが学習していない350種類の病変画像を含む動画を用いて、350種類の早期大腸がんや大腸前がん病変を正しく検出できる割合と、誤検出の程度について評価した。

 その結果、隆起型病変は感度95%で検出でき、「大腸内視鏡熟練医と同等のレベルであると確認できた」と山田氏は言う。表面型病変の感度が75%、病変がない場合に誤検知しないことを示す特異度は89%だった。

国立がん研究センター中央病院 内視鏡科の山田真善氏(写真:オンライン画面のキャプチャー)

 表面型病変の検出については、病変の大きさ別に感度を調べたところ、1~4mmの病変で感度79%、5~9mmの病変で感度78%、10mm以上の病変で感度76%という結果が得られた。このことから、「サイズが小さいからといって感度が落ちることはなかった」と山田氏は話す。

 さらに、医師による読影試験も行った。この試験では、通常の内視鏡モニターのみを見て読影した場合と、通常のモニターに加えてWISE VISION 内視鏡画像解析AIを用いて読影した場合を比較した。

 その結果、大腸内視鏡検査の経験が浅い医師では、通常モニターのみでの読影では76.6%だった表面型病変の感度が、AIソフトウエアを用いることで82.8%まで高くなることが分かったという。WISE VISION 内視鏡画像解析AIを使うことで、医師の技量による診断精度のばらつきを解消できると期待される。

 今後は、「人間には認識が難しい平坦型腫瘍や陥凹性病変をAIに学習させて、さらに精度を向上させたい」と山田氏は意気込む。さらに、早期大腸がんや大腸前がん病変の微細構造や模様を学習させることで、大腸病変の質的診断やリンパ節転移の予測への対応も目指したいとする。将来的には、CT画像や病理画像、分子生物学的情報などと組み合わせた、より利用価値の高いリアルタイム内視鏡画像診断補助システムを実現したい考えだ。

(タイトル部のImage:出所は国立がん研究センター)