これが5つの戦略的要素

 こうした基盤をもとに進めるデジタル化戦略が2021年の肝となる。具体的には「ヘルスケアの仮想化」「ヘルスケアのデジタル化」「価値ベースのヘルスケア」「ヘルスケアのXaaSモデル化」「エコシステム統合」の5つを掲げた。

 「5つの戦略的要素の実現に向けては、すでにさまざまなプロジェクトが動いている。例えばデジタル病理診断、eICU(遠隔集中治療ソリューション)についてはどちらも薬機法の認証を取得して医療現場で利用できる環境を整備した。これにより医療従事者の生産性を向上し、患者の早期回復をサポートする。医療体制のアップグレードに貢献するソリューションだ」(堤氏)

 堤氏はデジタル病理診断に関して、受託臨床検査大手のエスアールエルと検討していることを明らかにした。そのほか、2020年6月にはインテグリティ・ヘルスケアと共同で開発した「eHomeCare呼吸管理プログラム」を発売し、継続モニタリングによる在宅呼吸ケアを目的としたオンラインソリューションを提供。東北大学、名古屋大学とは共同でAI研究開発人材育成に乗り出す。

 中でも「ヘルスケアコマンドセンター」の構想は壮大なものだ。ITによっていつでも、どこでも、必要に応じてヘルスケアサービスを受けられる世界観であり、「データを分析して医療機関や地方自治体と連携しながら患者一人ひとりにマッチングした医療を提供していきたい」(堤氏)と説明した。

 エコシステムの統合では、自治体、アカデミア、病院との連携をより深める。進行中プロジェクトの1つである岐阜県美濃加茂市の事例では、美濃加茂市長の伊藤誠一氏、社会医療法人厚生会 理事長の山田實紘氏をオンラインで結び、フィリップスが協力するメディカルシティの概要について紹介。伊藤氏は「健康医療に最先端技術を取り入れ、予防、治療に取り組む」と抱負を語った。詳細な内容については2021年3月の発表を予定している。

オンラインでコメントを寄せた美濃加茂市長の伊藤誠一氏(画面左)、社会医療法人厚生会 理事長の山田實紘氏(画面右)