フィリップス・ジャパンが2021年1月20日に発表した同年の事業戦略は、医療・ヘルスケアにおけるデジタル化の加速がキーワードになった(関連記事)。一方、選択と集中によって往時に比べ個人向けの製品はだいぶ少なくなったものの、消費者との接点がなくなったわけではない。事業戦略とあわせて実施された2021年の新製品発表会では、現在注力する領域から合計8製品を発表した。

スリープテック分野からは2製品を発表

 2019年に参入したスリープテックでは、「SmartSleepシリーズ」のデバイスを展開している(関連記事)。第1弾となった「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド」に続き、今回は機構の改良や小型化を図った第2弾製品「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド 2」を発表した。

 ディープスリープ ヘッドバンドは頭部に巻く形で睡眠中に利用するウエアラブル型ヘッドバンド。搭載したセンサーが脳波を計測して、睡眠が深くなったタイミングで継続的なオーディオトーンを流すことで睡眠の質を高める仕組みだ。日々のデータは専用アプリの「SleepMapper(スリープマッパー)」によって可視化され、自らの睡眠状態を知ることができる。

 初代モデルは右耳後方に交換式センサーを付けていたが、ヘッドバンド 2では額部に3つのセンサーを埋め込み小型化に成功。また、骨伝導スピーカーの採用により耳を覆う機構を一新することで小型・軽量化を実現した。同社 スリープ&レスピラトリーケア事業部 事業部長の安部美沙子氏は、「耳をふさがないために睡眠中の違和感がなくなる。スッキリしたデザインとともに消耗品であるセンサーの交換もなくしたのがポイント」と説明した。さらに入眠を補助する4種類のスリープサウンド機能、ヒーリング音によるアラーム機能を新たに加えた。

フィリップス・ジャパン スリープ&レスピラトリーケア事業部 事業部長 安部美沙子氏(写真:小口 正貴)
フィリップス・ジャパン スリープ&レスピラトリーケア事業部 事業部長 安部美沙子氏(写真:小口 正貴)
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 スリープテックの新製品「SmartSleepスノアサイレンサー」も発表した。“いびき対策をスマートに。”をコンセプトとする製品だ。安部氏によれば、いびきは睡眠時無呼吸の軽い状態とのことで健康面からも改善が必要だという。とりわけ仰向けの状態では重力によって舌が気道に落ち込み、いびきが出やすくなる。スノアサイレンサーは胴体に巻くデバイスで、センサーが睡眠時の姿勢を計測。仰向けと判断した場合には本体がわずかに振動し、自然な寝返りを促す。

SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド 2とSmartSleepスノアサイレンサー(出所:フィリップス)
SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド 2とSmartSleepスノアサイレンサー(出所:フィリップス)
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 入眠を阻害しないように開始から30分間は仰向けでも振動せず、自己学習アルゴリズムで振動の強さを最適化するなど独自のテクノロジーを詰め込んだ。1度の充電で最大8回使用できる。発売前の事前調査では、約86%がいびきが減ったと回答した。

美容領域の新製品は「一人ひとりにあわせた最適化」が共通項

 2020年に発売して話題を呼んだ電動ファン搭載マスク「ブリーズマスク」には、女性向けの新色「サクラピンク」を投入すると発表した。ブリーズマスクは発売から3日で初回在庫が完売した人気製品で、新鮮な空気が循環するとしてスポーツ用途で受けている(関連記事)。医療現場でも使用されているN95レベルのフィルターを採用し、感染症対策や花粉症対策としても効果が高い。

ブリーズマスクの新色、サクラピンク(写真:小口 正貴)
ブリーズマスクの新色、サクラピンク(写真:小口 正貴)
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 美容領域ではドライヤーとシェーバーの新製品を紹介した。どちらも共通項は「一人ひとりにあわせた最適化」で、ドライヤーでは「SenseIQ」、シェーバーでは「SkinIQ」と呼ばれる技術を搭載する。

 SenseIQはデジタル赤外線センサーが1秒間に30回、髪の温度を感知する技術。温度に基づいて内部のマイクロプロセッサーがセンサーデータを分析し、ドライヤーの温度と風量を自動調節する。これにより熱による髪へのダメージを防ぎ、潤いを保つ。

SenseIQ搭載の「フィリップス ヘアドライヤー プレステージ」(写真:小口 正貴)
SenseIQ搭載の「フィリップス ヘアドライヤー プレステージ」(写真:小口 正貴)
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 シェーバーに搭載したSkinIQは、ヒゲの濃さや顔の輪郭を感知。毎秒125回のヒゲ密度感知システム、シェービング動作検知センサーなどが内蔵されている。専用アプリと連動してパーソナルシェービングプランを作成することもできる。

SkinIQ搭載の「シェーバー S7000」と「シェーバー S5000」(出所:フィリップス)
SkinIQ搭載の「シェーバー S7000」と「シェーバー S5000」(出所:フィリップス)
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 口腔ケアでは、電動歯ブラシの主力製品「ソニッケアー」の紫外線除菌器付きモデルと、単体の紫外線除菌器を発売する。同社 パーソナルヘルス事業部 マーケティング部長の今野麻木氏は「新型コロナの影響もあり、除菌・衛生に関するニーズが高まっている」と話し、紫外線除菌器の優位性をアピールした。

フィリップス・ジャパン パーソナルヘルス事業部 マーケティング部長 今野麻木氏(写真:小口 正貴)
フィリップス・ジャパン パーソナルヘルス事業部 マーケティング部長 今野麻木氏(写真:小口 正貴)
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 ブラシヘッドに紫外線を当て、10分で除菌を行なう。第三者機関の試験では、歯ブラシに付着した菌が99%減少する効果が認められたという。日本での電動歯ブラシ普及率はまだまだ低いが、日本人の衛生観念の高さに訴えかける製品として攻勢をかける。

「ソニッケアー  プロテクトクリーン〈プラス〉  紫外線除菌器付」。除菌器は単品でも販売(写真:小口 正貴)
「ソニッケアー プロテクトクリーン〈プラス〉 紫外線除菌器付」。除菌器は単品でも販売(写真:小口 正貴)
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2021年夏の日本導入を目指す家庭用AED

 家庭用AED「ハートスタートHS1 Home」は、日本での新しい市場を開拓する製品として発表した。AEDは公共機関や駅、学校などにあるのが一般的だが、同製品は米国で唯一、医師の処方箋なしで購入が認められた初のAEDであるHS1シリーズの家庭版。2021年夏の日本導入を目指す。

家庭用AEDのハートスタートHS1 Home(写真:小口 正貴)
家庭用AEDのハートスタートHS1 Home(写真:小口 正貴)
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 心停止で亡くなる人の数は1日平均216人であり、交通事故死の24倍、火災事故死の53倍となる。しかも総務省の調査によると、日本で心停止によって住宅で亡くなる人の割合は66%を占める。同社 コネクテッドケア事業部 事業部長の田口賢氏は「心停止から1分経つたびに救命率は7〜10%下がると言われる。救急車の到着時間は平均8.7分ほどのため、応急救護が非常に重要になってくる」と述べ、家族を救うためにも家庭用AEDを準備することが大事だとした。

フィリップス・ジャパン コネクテッドケア事業部 事業部長 田口賢氏(写真:小口 正貴)
フィリップス・ジャパン コネクテッドケア事業部 事業部長 田口賢氏(写真:小口 正貴)
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 重さは約1.5kgで簡単に持ち運べるコンパクトサイズ。ボタンを押すだけで電源が入り、音声ガイドにあわせて操作ができる。一般市民がAEDを使用した割合はおよそ5%ほどだそうだが、田口氏は宮崎県の小学校でAEDによって児童が蘇生した例を示しながら「早い段階で心肺蘇生が行なわれれば生存率も社会復帰率も上がる。家庭での心臓突然死ゼロを目標にしたい」と語った。

(タイトル部のImage:小口 正貴)