一度周期が短くなって長くなる傾向が浮き彫りに
今回の共同研究の結果、季節や居住地については、月経周期に一切、影響しないことが分かった(図1、2)。「特定の季節にしか繁殖しない動物が少なくなく、ウマは春から夏だけ仔を産む。ヒトにもその名残があるのかと思ったが、そうではなかった」と鳴海氏。居住地についても、南北に長い日本では日照時間がかなり異なるものの、地域に関係なく(たとえば北海道でも東京でも沖縄でも)、ヒストグラムはほぼ同一になった。
一方で、年代ごとの月経周期にはかなり大きな違いがあり、それぞれの年代に特異的な興味深い傾向が見られた(図3)。10代では周期が短めで、頻発月経とされる割合が多かった。
ただし、個人ごとの周期のばらつきが大きいのも特徴。20代に入ると周期が長くなり、25~29歳で最長に達した。また、頻発月経の割合が減る、個人ごとのばらつきが小さくなるなどの傾向が見られた。30代以降45歳ごろまでは、周期が約3日短くなる傾向にあることも分かった(図4)。つまり、「年代によって、正常とされる周期の範囲に入る割合が変化することが明らかになったといえる」(鳴海氏)。
20代後半から50代にかけて、一度周期が短くなった後で長くなるメカニズムについては不明とのことだが、「欧米では、年代によって卵胞期(月経終了から排卵までの期間)の長さが変化するとの報告がある。今回の変化も、視床下部を起点とする内分泌系の年齢的な変化を捉えているのではないかと思う」と鳴海氏はコメントした。