東北大学病院と東北大学大学院 医学系研究科・医学部は、医療技術研修施設「東北大学クリニカル・スキルスラボ」の設備や機器を充実させるため、クラウドファンディングを開始すると発表した。調達した資金を使って、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を始めとした感染症の治療を学ぶために必要なシミュレーターや医療機器の拡充を目指す。募集期間は2021年2月2日~4月30日で、目標金額は1500万円である(クラウドファンディングのサイト)。

2021年2月2日に行われた記者発表会の様子(提供:東北大学大学院医学系研究科・医学部)

 東北大学クリニカル・スキルスラボは、東日本大震災後の2012年に地域開放型の施設として開設された。医療現場を再現し、シミュレーション医療教育を実践できる研修施設だ。

 臨床現場で技術を習得する際には、患者に危害を加える可能性や学ぶべき症例に出会えない可能性、緊急場面での教育の限界といった課題がある。これに対して施設では、基本的な手技から高難度の技術まで対応できる約100種類のシミュレーターや医療機器が整備されている。開設以来、毎年約1万6000人の医療関係者が利用してきたという。

 そんな中、COVID-19の感染拡大により、「全ての医療従事者が感染症に対する理解や感染患者の治療について学び直す必要がある」と東北大学大学院 医学系研究科 研究科長の八重樫伸生氏は指摘する。しかし、東北大学クリニカル・スキルスラボに設置されているシミュレーターや医療機器の多くは耐用年数を過ぎており、最新の医療に対応していなかったり、十分な機能を発揮できなかったりする恐れがある。

東北大学大学院 医学系研究科 研究科長の八重樫伸生氏(写真:オンライン記者発表会の画面キャプチャー、以下同)

 そこで、最新の医療を学べるシミュレーターや医療機器を購入することで、COVID-19の治療にも対応した設備を整えたいと考え、今回のクラウドファンディングを開始するに至った。集めた資金の使い道としては、(1)肺の補助を目的とする体外式模型人工肺「ECMO(エクモ)」や人工呼吸器の活用を学習できるシミュレーターの整備、(2)医療現場で実際に使用されている人工呼吸器の購入、の2つを想定している。

記者発表会で行われたECMO治療のシミュレーションをするデモンストレーションの様子