●COVIDVENTILATOR PROJECT 石北直之氏

 石北氏は、3Dプリントが可能な人工呼吸器を開発する「#O24U - COVIDVENTILATOR PROJECT」から生まれた「?VENT」について語った。石北氏は、設計図データと3D プリンタがあれば「世界中どこででも人工呼吸器を製造できる」ということに2013年から着目し、その研究プロジェクトではすでに宇宙ステーションでの製造・動作に成功している。

石北直之氏

 その研究技術を開放し、3Dプリンタを活用できれば「世界中に人工呼吸器を普及できる」と考えて#O24Uを立ち上げた石北氏。当初は「データを無償公開すれば、あとは勝手に広まる」と考えていたそうだ。しかし、実際には低品質な造形や改造品の混入が重大な医療事故のリスクになることから、厳格な「品質管理」が求められることがわかった。

 さらに、人工呼吸器はクラスIIIの高度管理医療機器に該当し、各国における薬事認証申請が必要となるほか、製造者認可も課せられる。研究開発や申請には多額の費用も必要となることから、石北氏は「研究や申請に必要な資金を調達し、各国の承認申請をクリアする方針に転換した」とこれまでの経緯を説明する。

 「?VENT」として開発する製品は3つある。あらゆる場所での分散型製造が可能な「3Dプリントモデル」、より高精度で使い捨ての「金型整形樹脂モデル」、圧力と空気流速の設定値をスマホ画面に表示する「アプリ」である。デバイスとスマホを連動させることで「精密な呼吸管理を実現する」(石北氏)。

●Tomocloud 小川良磨氏

 Tomocloudは、ポータブル電気CTスキャン「LTモニタ(リンパ浮腫トモグラフィックモニタ)」の開発を進めている。リンパ浮腫は、乳がんや婦人科がん手術後の約3人に1人が発症する後遺症である。手足が腫れてしまう病気で、症状が進むと手の施しようがなくなるため「見放された後遺症」(小川氏)とも呼ばれている。しかし、従来の経験と勘に頼った「古典的な診断手法では、早期発見や重症化予防ができない」(小川氏)ことから、画像による客観的な早期診断を実現するLTモニタの開発をスタートした。

小川良磨氏

 LTモニタのコア技術となるのが、電気を使った独自の画像化診断技術「EIT(電気インピーダンストモグラフィー)」である。リンパ液は異なる電気特性を持っているため、「体内のわずかな電気化学的変化をとらえることで、リンパ浮腫を診断する」(小川氏)。利用にあたっては、ポータブルなウェアラブルセンサーを患者の腕や足に巻き、クラウド連携やEITによって測定場所の断面をリアルタイムに画像化する。

 製品展開はまず、医療機関向け「LTモニタPro」と個人使用を想定したセルフケア向け「LTモニタLite」をリリースする。LTモニタProは「3D+時間」の診断が特徴で、断面の画像だけでなく時間軸での流れも確認することで、「ステージ判断」「原因特定」「将来リスク予測」などを可能にする。LTモニタLiteは、患者によるモニタリングや自己管理を実現する。