●国際医療福祉大学成田病院 血管外科 医学部助教 瀧澤玲央氏

 瀧澤氏は現在、「バイオミメティクスを応用した血管内留置カテーテルの開発」を手掛けている。瀧澤氏によれば、人工血管やカテーテルなどの人工物には「常に感染のリスクがある」とともに、従来の感染対応法では「根本的な解決にならない」という課題がある。そこで「バイオミメティクス(生物模倣)」に着目し、カテーテルの「構造自体を変更することで感染を防げないか」と考えた。

瀧澤玲央氏

 最初に目を付けたバイオミメティクスは、ミクロの構造が抗菌作用を生み出す「鮫肌構造」である。さらに、瀧澤氏が現在もっとも興味を示しているのが、セミやトンボの羽に見られる「ナノピラー構造」である。こちらも、鮫肌構造と同様に「抗菌作用がある」と発表されている。

 瀧澤氏が実際にナノピラー構造を人工的に模倣して作ってみたところ、抗菌作用とともにカテーテルに有益な「超撥水」の効果もあったという。また「大腸菌を死滅させる」ほか、「人体の細胞には悪影響を及ぼさない」といったことも確認できたそうだ。そしてこれらの結果から、この技術を応用すれば「理論上、感染しないカテーテルの製造は可能」と確信した。

 ただし、開発においては「さまざまな素材での検証」や「安全性・抗菌効果判定の検証」などが、課題として挙げられる。しかし瀧澤氏は、技術を確立できれば「感染リスクの回避や医療コストの削減、他の医療品への応用などが可能になる」と訴えた。

(タイトル部のImage:寺田 拓真)