介護業務の三大介助と言われる「食事」「入浴」「排泄」。このうち排泄の介助を支援するロボットの開発が、福井県福井市のシステム開発会社などによって進められている。

 開発しているのは、心拍数から排泄を予測するロボット。ベッド上の要介護者のカメラ映像から脈波を抽出する技術によって心拍数を1分単位で計測し、その変化によってAI(人工知能)が排泄時間を予測して介護者などに通知する仕組みである。

 手掛けているのは、福井市に本社を置く永和システムマネジメントや福井大学医学部泌尿器科学講座、福祉事業者のわかたけ共済部、ふくい産業支援センターなど、産官学グループ。「福井県ヘルスケアビジネス研究会」の介護ロボットの実証ワーキンググループに参画するメンバーである。

福井県ヘルスケアビジネス研究会 プラン発表会の場でで発表された(写真:Beyond Healthが撮影、以下同)

 介護施設における定時の排泄介助を行う介護士の業務負担を軽減することを目指す。要介護者自身にとっても自立的な排泄ができ、QOLの向上にも寄与できるとする。

 試作したロボットをわかたけ共済部の介護施設で実証実験を行ったところ、「24時間の間で、自身でトイレに行った7回のうち、5回を予測できた」(永和システムマネジメント 未来企画室の竹内清一氏)という。

 実証実験の結果を受け竹内氏は、さらに予測精度を上げるとともに、医学的なエビデンスを構築したいと話す。「心拍数の変化と排泄衝動の相関による予測は可能だと考えるが、医学的見地からそのメカニズムをより深く検証する必要がある」(同氏)。そこで、福井大学医学部の協力を得て、脳波を加えて心拍数と尿意の相関を明らかにする取り組みを開始した。

 商用化は「2~3年後」(竹内氏)を予定している。市場投入は、まず要介護度が高くない利用者が多いサービス付き高齢者向け住宅を対象にする考え。次に家族の負担軽減を図るため在宅介護に向けて拡大。これらの市場で技術的なノウハウを蓄積し、最終的には尿道留置カテーテルの離脱に向けた看護支援など医療分野への適用を目指す。