新拠点として「未来社会健康デザイン拠点」を設立

 社会実装については、COI東北拠点は9年間のプロジェクトで3年ごとにフェースを区切っており、フェーズ1では基盤的な研究、フェーズ2では応用研究や実用化研究に取り組んできた。そして、2019年から開始したフェーズ3では、大学をプラットフォームとして複数企業が参画する「BUB(Business to University to Business)体制」での社会実装を進めてきた。BUBはテーマごとに分かれており、例えば「食事BUB」「運動BUB」「旅行BUB」「鏡時間BUB」「暮らしBUB」などがある。

BUB企業群テーマ

 例えば、カゴメとオムロン ヘルスケアが中心となっている食事BUBは、オムロン ヘルスケアが開発した尿中のナトカリセンサーを用いた減塩指導を宮城県登米市で実施。「1万人以上の住民の血圧が低下した」(末永氏)という結果が得られており、全国展開も視野に入れている。また、カゴメはナトカリ比を正常に保つための食事提案をしており、この試みは厚生労働省の大規模実証事業に採択された。

 一方で、COI拠点間連携による研究推進にも取り組んでいる。具体的には「弘前大学COIが実施する岩木健康増進プロジェクト健診への参加」「旅行BUBにおける東京藝術大学COIとの連携」「データ標準化をテーマとするシンポジウムの東京大学COIとの共催」などがある。そのほか、ポストCOIに向けた取り組みとしては「若手育成」「病院連携」「メンバーシップ体制の構築」などについても触れた。

 このように、COI東北拠点はさまざまな活動に取り組んでおり、末永氏は「多くの成果が出してきた」と自負する。また、残り1年余りの活動となるCOI東北拠点は、この成果を次のステップにつなげるべく、新たな拠点として「未来社会健康デザイン拠点」を2021年4月1日に設立する予定だ。新拠点は「COI東北拠点がこれまで培ってきたさまざまな財産を引き継ぐとともに、各大学との連携も継続していく」(末永氏)という。

 なお、末永氏によれば、新拠点でも“食”にフォーカスしたBUBは「重要な検討課題」となるそうだ。センシング技術を活用した「食事・健康」の見える化などを進めることで、「新たな研究展開や社会実装が新拠点から発信される」との考えを示した。