これが「食」イノベーションの3つのトピック

 後半は和賀氏が登壇し、COI東北拠点が推進するライフスタイルと「食」のイノベーションについて説明した。和賀氏が1つ目のトピックとして挙げたのは「COVID-19と生活習慣」である。

COI東北拠点 拠点長 プロジェクト統括(PL) フォーネスライフ チーフテクノロジーオフィサー NECソリューションイノベータ プロフェッショナルフェローの和賀巌氏

 COVID-19によってさまざまな変化が起きているなか、ヘルスケアにおいては「COVID-19の重症化と基礎疾患の課題」が見えてきた。実際、以前も基礎疾患のある人はインフルエンザでの死亡率が高かったが、COVID-19でも循環器系疾患や糖尿病、いくつかのがんといった多くの慢性疾患の関連がわかってきている。しかし和賀氏によれば、「これらの慢性疾患の約80%は、ライフスタイルを変えることで回避できる」という論文があるとのこと。そこでCOI東北拠点はその実現に向け、日常人間ドックをさまざまな形で進化させている。

 例えば、精製糖質や塩分摂取の課題、うつや孤独による病、マイクロバイオームの破綻などを問題点として捉え、「我々のライフスタイルの中には、これらが健康に対する落とし穴として存在する」と指摘する。さらに、ある大規模調査によると、世界のどの地域でも「精製された炭水化物や甘いジュース、加工された肉などは、テロメア(細胞死と密接にかかわる染色体の末端構造)に悪い影響を与えるが、美味しいからつい食べてしまう」(和賀氏)そうだ。一方で、魚や低脂肪高品質なたんぱく質、野菜、果物、全粒穀物などには「薬効がある」ことから、和賀氏は「食はとても大事であり、日常人間ドックでもその点を重視する必要がある」と訴えた。

 2つ目に挙げたトピックは「海外フードテック革命」だ。コロナ禍では食のデリバリーなどの新しいビジネステックが増えているなか、「フードロスやパーソナライズされた栄養などに着目したビジネスモデルも多く登場している」(和賀氏)。

 参考事例としては、利用者のDNAを調べるとともにそれに最適なヘルスケアを提供する「DnaNudge」、利用者のDNAに基づく食品を提供するテイクアウトレストラン「Vita Mojo」、その日の体調に合わせたお茶をサブスクリプションで提供する「Lify Wellness」などを紹介。新しい解釈によって食にまつわるさまざまなビジネスが生まれることで、「世の中はもっと良くなっていく」と和賀氏は語った。

 そして、3つ目となる最後のトピックは「日常人間ドックとPDS」である。COI東北拠点は日常人間ドックにおいて「自助と共助のビジネスをエコシステムで立ち上げていく」(和賀氏)考えだ。例えば、食事管理・ダイエットアプリ「あすけん」を開発・運営するaskenはCOI東北拠点と連携していることから、拠点内でフードテックが広がる一助となっている。そんななか、和賀氏がaskenに続く企業として挙げるのが、血液ビックデータ検査サービスを開始したフォーネスライフだ。

フォーネスライフによる血液ビッグデータの活用イメージ

 フォーネスライフは、東北大学の協力のもと「いまの血液から4年以内で脳梗塞や心筋梗塞などで倒れるリスク」を予測するシステムを開発。ここで得らえた血液のビックデータを活用することで、心筋梗塞のモデルでは「4年以内に70%がイベントを起こす“グループ10”の人々が、4年間安心して暮らせる“グループ1”になる」ような食事介入(あるいは運動、睡眠も含む)を目指している。

 さらに、このシステムは「COVID-19で重症化する人を見つけられる」(和賀氏)ことも確認できたそうだ。これを実用化できれば、「あらかじめ重症化する人は病院でケアし、そうでない人は在宅にするといった対応も可能になる」と補足した。

(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)