「〇〇をすれば健康になれる──」。そんな情報が巷に溢れている。しかし、その情報は玉石混淆で、私たちはその中から自分の年齢や状況に相応しく、かつ確からしいものを取捨選択しなくてはならなかった。さらに、“健康”と一口に言っても、さまざまな疾患があり、それぞれリスク因子が異なるため、ある予防法が必ずしも全ての疾患を予防して健康に導いてくれるかは分からない。

 そんな中、国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)6機関は、日本人の健康寿命を延伸するために必要な予防行動などをまとめた「疾患横断型エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開した。特定の疾患ではなく、がんや認知症、精神疾患などさまざまな疾患を横断的に予防するための行動がまとめられている。専門分野の異なる国立高度専門医療研究センターが連携したことで、日本で初めてとなる疾患横断的な予防への取り組みが幕を開けた。

* 国立高度専門医療研究センターとは、国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センターの6機関のこと

2021年2月17日に開催された記者発表会の様子(提供:国立がん研究センター、以下同)

 こうした疾患横断的な取り組みが行われることになったのは、人がさまざまな疾患で命を落としているからである。実際、日本人の主要な死因の割合は年代によって異なり、20~30歳代は自殺、40~80歳代はがん、90歳代以上は心疾患による死亡が最も多いことが分かっている。

 さらに、介護が必要になった原因としては、40~70歳代は脳卒中、80歳代は認知症、90歳代以上はフレイルが最も多い。このことから、健康寿命もさまざまな疾患によって縮められていることが分かる。そのため、「一つの疾患だけを予防するのではなく、さまざまなことを融合して予防行動をしていかなくてはいけない」と国立がん研究センター 社会と健康研究センター センター長の津金昌一郎氏は話す。

国立がん研究センター 社会と健康研究センター センター長の津金昌一郎氏

 そこで、国立高度専門医療研究センター6機関は、既にエビデンスが確立している予防行動について提言を行った。提言では、「喫煙」「飲酒」「食事」「体格」「身体活動」「心理社会的要因」「感染症」「健診・検診の受診と口腔ケア」「成育歴・育児歴」「健康の社会的決定要因」の10項目に分けて、健康を左右する指針がまとめられている。