ロシュ・ダイアグノスティックスは、日本を含む11カ国の生活者と医師を対象とした「健康と検査に関するグローバル調査」を実施。このほど、同調査に関するオンラインでの記者説明会を開催した。

 調査は2021年8月13日~9月3日の期間にオンラインで実施。参加国は日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、スウェーデン、ブラジル、南アフリカ、中国、スペイン、オランダ、スイスの11カ国で、各国800人の生活者と40人の医師に回答してもらった。スクリーニング基準として生活者は「年齢18~65歳」「過去12カ月で臨床検査を受けた人」、医師は「3~30年の臨床経験を有する指導医師以上」「臨床検査について決定権を有する」などの条件で絞っている。

 調査結果について、最初にフォーカスしたのは「前提となる健康の重要さや臨床検査に対する意識」(同社 広報部門長の小野綾氏)についてである。例えば、健康の重要性について「非常に重要」と答えた人は約80%で、「やや重要」まで含めるとほぼ100%になったそうだ。また、健康維持の重要性についても「非常に重要」が約60%で、「やや重要」まで含めると、こちらもほぼ100%に近い値となった。ちなみに、これらの比率は「日本とグローバルでの差異はほとんどなかった」(小野氏)。

ロシュ・ダイアグノスティックス 広報部門長の小野綾氏(写真:オンライン会見のキャプチャー、以下同)
ロシュ・ダイアグノスティックス 広報部門長の小野綾氏(写真:オンライン会見のキャプチャー、以下同)
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 この結果を踏まえて「臨床検査を受ける目的は何なのか?」を聞いたところ、生活者では中国を除く10カ国で「疾患の検出」が1位となったほか、2位には「疾患の定期的なモニタリング」が選ばれた。日本とグローバルの生活者の回答を比較してみると、「個別化された治療についての詳細な情報を得る」「新しい、またはより高度な治療が利用できる」などが低かった。この結果から小野氏は「検査を受けることで“より適切な治療を受ける可能性が出てくる”といったところにまで、日本の生活者は認識していない」と説明した。

 一方、医師には「臨床検査または定期健診にはどんな価値があるか?」を問うたところ、95%が「疾患の検出」と回答したほか、「治療法選択への迅速なアクセス」「治療・管理への個別アプローチ」なども挙がった。小野氏は、グローバルと比較して「日本の医師は検査の価値をより高く認めている」と補足した。

 次に、コロナ禍における検査に関して、各国の生活者に過去18カ月間で「検査を受けなかった理由は何か?」を聞いたところ、他国と比較して日本で多かったのは「新型コロナ感染に対する不安」(31%)、「忙しくて検査を受けられない」(24%)、「検査を受けることに抵抗がある」(20%)であった。逆に、日本で少なかったのは「予約がキャンセルされた」(6%)なのだが、ヨーロッパ諸国などでは30%近い値になったことから、「各国の医療体制の違いなどが背景にある」と小野氏は考える。

 続けて「定期的な臨床検査の受診を妨げる要因は何か?」を聞くと、他国と比較して日本で多かったのは「十分な情報がない」(22%)、「時間がない」(22%)となった。この結果から、十分な情報がないのであれば「医師から十分な説明を受けていないのか」を調べるべく、「医師や医療従事者から臨床検査の手順や検査内容について説明があったか?」を聞いたところ、日本の生活者の80%が「十分な説明を受け、また質問の回答を得た」と回答した。ちなみに、医師も75%が「しっかり説明している」と答えたので、それぞれの答えに「ほぼギャップはない」と小野氏は判断する。

 これらも踏まえつつ、さらに「臨床検査を受ける前、または後に、個人的に検査についてどの程度調べるか?」を聞いた。その結果、日本では32%が「詳しく調べる/多くの時間をかけて調べる」、56%が「ある程度調べる」となり、合計で9割近い人が検査について何らかの方法で自ら調べることがわかった。

 ここまでの調査結果から小野氏は、日本の生活者は検査の目的や役割についてはある程度理解しているものの、「個別化されたよりよい治療につなげるためにも検査が重要である」という点までには「理解が十分ではない」と分析。また、「情報がない」ということが障壁の1つになっている側面もあることから、適切な検査に関する情報をしっかり伝えていくことで「適切な検査を適切なタイミングで受けてもらい、疾患の早期発見や早期治療につなげていきたい」とした。

ロシュ・ダイアグノスティックス 代表取締役社長兼CEOの小笠原信氏は「近年はCOVID-19に多くの注目が集まっているが、がんや肝炎など、COVID-19以外の重要な検査はたくさんある。だからこそ、検査の認知度をできるだけ高め、健康診断に行ってもらうことで病気になる前に予防してもらいたい。また、もし病気が発見された場合でも的確な方法でいち早く治療できれば、その後の予後の検査で診断薬が役に立つ」と語る
ロシュ・ダイアグノスティックス 代表取締役社長兼CEOの小笠原信氏は「近年はCOVID-19に多くの注目が集まっているが、がんや肝炎など、COVID-19以外の重要な検査はたくさんある。だからこそ、検査の認知度をできるだけ高め、健康診断に行ってもらうことで病気になる前に予防してもらいたい。また、もし病気が発見された場合でも的確な方法でいち早く治療できれば、その後の予後の検査で診断薬が役に立つ」と語る
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(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)