COI東北拠点は2021年2月9日、「未来社会のライフスタイルと“食”の健康イノベーション~ヘルスケアの未来に向けた取り組みと今後~」と銘打つシンポジウムをオンラインで開催した(関連記事:COI東北拠点が目指す、“食”を通じた健康イノベーション)。

 同シンポジウムでは、オムロン ヘルスケア 技術開発統轄部 R&Dフェローの志賀利一氏が「オムロンヘルスケアの目指す高血圧医療への取り組み」と題して登壇。「高血圧の対策が、健康維持管理の一丁目一番地になる」と訴えた。

オムロン ヘルスケア 技術開発統轄部 R&Dフェローの志賀利一氏(写真:オンライン画面キャプチャー、以下同)

 志賀氏は、現状の高血圧医療には「いくつかの課題が残っている」と指摘する。具体的には、(1)高血圧有病者の44%は未治療、(2)治療中だがコントロール不良が29%、(3)27%はコントロール良だが、それでもイベント発症している、という3点を挙げた。

 オムロン ヘルスケアでは、(1)の高血圧有病者の44%は未治療という課題に対しては、「高血圧学会・協会への支援による市民啓発・医師教育などの推進」(志賀氏)に取り組んでいる。加えて、スマートシティ構想の一環として、島根県益田市の市民を対象とした高血圧予防のアクティビティなどを展開しているほか、アジア各国に対する高血圧対策の支援なども進めている。

 (2)の治療中だがコントロール不良が29%という課題に対しては、コントロール不良の原因仮説から「オンライン診療を導入して高血圧診療へのアクセス利便性を向上させる」ことと「ガイドラインに基づく診療支援システムによる高血圧診療の均てん化」に着目。これを踏まえて同社は「医師の診療を助けるアルゴリズム」と「測定・服薬継続の支援」をコアとするオンライン診療サービスを継続的に研究開発している。その普及を進めるとともに、次のステップとして「個人の特性を考慮した個別化診療」(志賀氏)への進化も見据えているとした。

オムロン ヘルスケアが目指すオンライン診療サービス

 (3)の27%はコントロール良だが、それでもイベント発症しているという課題に対しては、脳卒中や心筋梗塞などの高血圧が原因で起こる疾患をゼロにする「ゼロイベント」に取り組んでいる。その1つとして、「血圧は常に変化しているおり、見逃している血圧が日常のさまざまな行動の中にある」という仮説から、24時間連続で血圧を測定ウエアラブル機器や、一拍ごとの連続的な血圧測定(Beat by Beat:BbB)が可能な機器を開発している。

 ゼロイベントの実現には「心電計測も必要」と考え、家庭で血圧と心電を同時に簡単計測できるデバイスも開発しているという。心房部分が細かく震える「心房細動」は不整脈の一種で、「脳梗塞の発症リスクが5倍、心不全の発症リスクが7倍にも高まる」と志賀氏は説明する。