住宅がIoT(モノのインターネット)化により、「人を幸せにする」居住空間へと進化する──。国土交通省はIoT技術などを活用し、住宅の市場価値を高めつつ居住・生産環境を向上させる取り組みに対し、「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」として支援を実施している。

 2020年2月18日、同事業の一環として、シンポジウム「事業者連携から生まれるIoT次世代住宅」を開催。登壇した、IoTを活用して暮らしを変えようとしているサービス事業者10社の中から、健康や医療に関連した取り組みを実践している4社を紹介する。

「よく眠れる家」や「健康長寿な家」などの住宅建築にも貢献

 最初は、エコナビスタ。大阪市立大学医学部疲労医学講座発のスタートアップで、介護施設をはじめとする高齢者施設向けに、高齢者の見守りシステム「ライフリズムナビ+Dr.」を展開する(関連記事)。同システムの概要はこうだ。

エコナビスタ代表取締役社長の渡邉君人氏。世界で最も高品質かつ大量の睡眠データを取得・保有すると胸を張る(写真:菊池 くらげ、以下同)

 例えば介護施設内において、個室の要所要所にセンサーを取り付ける。代表的なセンサーには、(1)ベッドのマットの下に敷いて「心拍」「呼吸「睡眠」などのデータを取得する「ベッドセンサー」、(2)ドアの上部に取り付け、ドアの開閉を見る「開け閉めセンサー」、(3)天井に設置して人を感知する「人感センサー」、(4)温度や湿度を測定しながら、間違えて夏に暖房をつけたり冬に冷房をつけたりする、ヒューマンエラーの防止にも役立つ「温湿度センサー」、などがある。こうしたセンサーで取得したデータはクラウドに上げられ、部屋の状況として医師や看護師、介護士などがスマートフォンやタブレットを使って確認することができる。

 データを取得するだけではない。独自のアルゴリズムを用いて睡眠データの解析も実施している。実際、同社はこれまでに、60歳から100歳までの高齢者に特化した、延べ2000人以上の睡眠データ、バイタルデータを取得・保有している。しかも、それらは秒単位で計測する「高密度データ」。「長い人になると、4年も継続してデータを取っており、世界で最も高品質かつ大量の睡眠データといえる」(同社代表取締役社長の渡邉君人氏)。

 同社ではこうした睡眠データを活用し、寝ることによって疲労がどれだけ回復できたのかを調べる新たなマーカーや、認知症患者の特徴的な眠りのパターンから認知症の発症を予測するAIなどを開発している。実際、新たなマーカーを使えば、「『よく眠れる家』や『健康長寿な家』などの新たな住宅建築にも貢献する」(渡邉氏)。同社の高齢者見守りシステムは既に、住友林業グループや長谷工グループ、リゾートトラストグループの介護施設などに採用され、現在1800人の見守りを手掛けているという。