「医療コンテナ」の整備を

 さらに、新型コロナウイルスについて分かっていないこととして、定着性や病原性、伝搬性などがあるとした。「上気道にも下気道にも、腸管の中にもいく。環境の中でどれくらい定着するか分かっていない。大阪で先日に陽性となった人が再び陽性になる。持続感染があるかもしれない。病原性もよく分かっていない。免疫系のサイトカインストームなども不明だ。伝搬も接触だと思うが、飛沫感染、エアロゾルも言われている」

 「社会・組織・個人としての対応の在り方が問われる。総合的な感染症危機管理システムが必要」と賀来氏は強調。平時から感染症を意識し、非常時にシームレスに対応できるようにすることが大切であり、感染症学ばかりではなく、情報学、環境学、集中医療学、免疫医療学、リスクコミュニケーションを含めた対応が重要であるとして、政府にも求めていく考えを示した。ソフト面やハード面の両面での医療体制の構築が必要であり、既存の国立感染症研究所では職員数が圧倒的に少ないと述べ、日本版CDC(疾病対策センター)の設置も求めた。

東北医科薬科大学特任教授の賀来氏(写真:飯塚 寛之、以下同)
東北医科薬科大学特任教授の賀来氏(写真:飯塚 寛之、以下同)
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 「感染症検査体制・検疫体制の拡大と仕組みの再構築」に関しては、無症候感染者の特定ができないことや、保険の仕組みがなく持ち出しで検査をする必要があること、検査センターへの検体の輸送の問題、検査装置のメーカーやトレーナーのキャパシティーの問題などを挙げた。保険適用の条件による縛りのため新興感染症の検査がしづらいなど、平常時から検査の仕組みを維持できるコスト負担の仕組みも必要と提案した。

 続いて「平時も利用可能な『医療コンテナ』の導入」について言及。病院と隔離できて、感染リスクを低減でき、トリアージを院外でできて院内にウイルスを持ち込むリスクも減らせるなどの利点を挙げた。さらに港などで、感染症にかかった人とかかっていない人をグリーンゾーン、レッドゾーンで分ける対応がしやすくなると説明。X線やCTなどを搭載して診断能力を高められると説明した。院内の汚染も同様に避けられると指摘。「移動式で災害時にも有用だ」と説明した。

 「有事処方制度の導入と平時からの情報システムの構築」に関して、既存のお薬手帳では、ポリファーマシーの評価や処方優先度が明確ではなく、災害時などに必要な薬が使われずに病気を悪化させる恐れがあると指摘。マイナンバーやICT(情報通信技術)を使った電子お薬手帳を導入して、災害時も効果的な処方をできるようにすべきだとした。