学級閉鎖をゼロにする取り組みも

 「あらゆるセクター、業界、企業における感染症BCP策定およびテレワークの加速度的な導入促進」について賀来氏は、災害対策と同じように、感染症についても事業を継続していくための計画を取り決めておくBCP(business continuity plan:事業継続計画)が求められると説明。「テレワーク推進は、東京オリンピック・パラリンピック対策の一過性の取り組みに終わらせないことが重要」と話した。

 「学校、職場、公共交通機関、イベントなどマスギャザリングにおける環境消毒習慣の実行と徹底」に関しては、学校や職場など、多くの方が集まるマスギャザリングで環境消毒をするのが重要だが、必ずしもできていない課題があると説明。新しい除菌剤などの技術を使い、高効率に環境消毒をできる商品の周知も重要だと指摘した。

 最後の「国民一人一人が『7つの約束』の実行と遵守を」では、この2月に公表した7つの約束を守るのが重要だと説明した(関連記事)

STOP感染症・7つの約束
    約束1 正しく恐れる
    約束2 ウイルスや菌の顔と性格を知る
    約束3 “STOP感染「新生活習慣」”を作る
    約束4 最新の対策技術にも目を向け情報収集する
    約束5 喉元過ぎても熱さを忘れない
    約束6 新型肺炎以外の感染症にも目を向ける
    約束7 防災用品だけでなく、感染症対策用品も備蓄を!

 感染症を迎え撃つためのテクノロジーも重要になる。緊急の状況でのニーズに応える中で、平時には気づきにくい新しい価値が生まれてくる可能性もある。それはディスラプティブイノベーションの一つの形と言っていいかもしれない。今回のフォーラムでは、協議会が進めるワーキンググループの参加企業による研究報告も行われた。

富士フイルムメディカルシステム事業部統括マネージャーの阿部氏
富士フイルムメディカルシステム事業部統括マネージャーの阿部氏
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 富士フイルムメディカルシステム事業部統括マネージャーの阿部洋史氏は、エタノールを使い、銀イオンも配合した消毒液である「Hydro Ag+」による学校での感染対策研究について紹介。インフルエンザによる学級閉鎖を大幅に減らせる可能性を示した結果を説明した。開発の経緯は、銀イオンを含む写真フイルムが長期保存してもカビにくい特徴に着目したことだという。製品の塗布面に溶媒が付着。中で銀イオンが動き、銀イオンの膜が作られて抗菌性が出てくると解説した。

 阿部氏らは東海大学と共同で、神奈川県内の中学校において製品を使った消毒の試験を実施。学校で体が接触する場所の環境消毒を1日1回実施して、インフルエンザ患者や学級閉鎖の推移を確認した。看護の現場で、接触する場所を重点的に消毒する対応にならったものだ。全国的には30%のクラスで学級閉鎖があるのに対して、対策をした148のクラスの中で学級閉鎖したところはゼロだったと説明。患者数も対策をしていない前年は25%だったのに対し、10%程度に減ったと成果を話した。