パナソニックは、新型コロナウイルスワクチンなどの医薬品の定温輸送に対応する真空断熱保冷ボックス「VIXELL(ビクセル)」のレンタルサービス事業を開始する。第1弾として、物流を含めた医薬品・医療機器関連事業などを手掛けるスズケングループと提携し、VIXELLのレンタル受付、保冷ボックスの保管、温度の維持に用いる蓄熱剤の凍結や温度調節(予冷)、指定先までの予冷済み保冷ボックスの配送、回収などの業務を行う「フルフィルメントサービス」を2021年4月に開始する。

パナソニックの真空断熱保冷ボックス「VIXELL」(写真はType-S「AE-V06GXR」)(写真:パナソニック)

 対象とするのはVIXELLシリーズのうち、57Lの保冷ボックス本体(Type-S)に2~8℃で5日間温度を維持できる蓄熱ユニットを組み合わせた、医薬品収納箱容量約8Lのもの。米Pfizer社の新型コロナウイルスワクチンであれば最小単位に相当する195バイアル分(約1000人分)を収納できるとする。

 厚生労働省が2021年2月17日に開催した「第3回 新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会」の資料によれば、Pfizer社の新型コロナウイルスワクチンはメーカーにより国内倉庫から冷凍保存に対応するディープフリーザーを設置する基本型接種施設まで配送される。その後、ワクチンを連携型接種施設・サテライト型接種施設(医療機関や公共施設、商業施設、職場などの接種会場)へ原則3時間以内に2~8℃を保った状態で移送、2~8℃の冷蔵庫で保管し、ディープフリーザ―より取り出した時点から5日以内に接種完了する方法が認められている。

 今回の保冷ボックスは基本型接種施設から連携型接種施設・サテライト型接種施設へのワクチンの移送に用いることを想定しており、顧客は自治体や医療機関などとなる。フルフィルメントサービスを利用すれば、予冷済みの保冷ボックスが基本型接種施設などの指定先に配送されるため、予冷などの複雑なオペレーションや管理ノウハウがなくても、既存の物流会社を使ってワクチン移送を実現できる。

スズケングループと提携し、フルフィルメントサービスを展開する。まずは2~8℃でのワクチン移送に向けた保冷ボックスの提供を開始する(図:パナソニックの発表会資料より)

 パナソニックは2021年1月に真空断熱保冷ボックスVIXELLを開発したと発表している。同製品では、同社が約60年かけて培った冷蔵庫向けの断熱技術を応用し開発した、一体成形により箱形に作られた真空断熱筐体(VIC)を採用する。従来の真空断熱パネルを箱形に組み合わせたものに比べて継ぎ目からの冷気漏れを防ぐことができる。

 Type-Sでは断熱材に発砲ウレタンとグラスウールを用いることなどと組み合わせ、同社の従来開発品に比べて保冷能力が約30%向上できたとする。蓄熱剤としてドライアイスと組み合わせた-70℃以下での冷凍輸送にも対応可能とする。また、緩衝層や衝撃緩和層といった衝撃吸収構造を採用しており、高さ700mmからの箱の落下にも耐えられるとする。