薬物やアルコール、ギャンブルなどの依存症に対する理解を深めてもらおうと、厚生労働省主催の普及啓発イベントが3月1日、東京都内で開かれた。専門家に加え、依存症の当事者代表として、元プロ野球選手の清原和博氏や元俳優の高知東生氏、ロックバンドZIGGYのボーカル森重樹一氏らが登壇し、依存症からの回復の道のりを赤裸々に語った。

 「回復を応援し、受け入れる社会へ」をテーマにしたトークセッションでは、清原氏と高知氏のほか、NHK「おかあさんといっしょ」の元「歌のお兄さん」杉田あきひろ氏、元NHKアナウンサーの塚本堅一氏も加わった。4人はいずれも2016年に薬物使用の疑いで逮捕され、その後、依存症患者同士が集まる「自助グループ」につながった共通点がある。

 自助グループとは、同じようなつらさを抱えた者同士が、お互いに支え合いながら、その障害を様々な形で克服していくための集団を指す。グループメンバー間で、体験談、想い、情報、知識などを分かち合うことで、気づきや癒し、希望、問題解決へのヒントなどを得る。アルコールや薬物の依存症などを対象とする自助グループは現在、全国各地に存在する。

 4人が一堂に会するのは今回が初めて。進行役を務める「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子氏から「花の2016年組」と紹介されると、苦笑いを浮かべながらも、それぞれ自らの体験や今の思いを語った。

■元プロ野球選手 清原和博氏

まさか自分が手をつなぐとは

 これまで過去を振り返ることはなかったが、事件を起こして、たくさん時間がある中、今はどこでどうなったのかなどを見つめ直しているという清原氏。4人のうち自助グループにつながったのは一番最後のため、「この中では新人です」と遠慮がちに切り出して笑いを誘った上で、まずは自助グループに通ういきさつを語った。

清原和博氏(写真:花井 智子、以下同)

 「最初は病院の治療に行っていて、自助グループの存在を聞いていたけれど、自分の誰にも話していなかったことや気持ちを包み隠さず伝えるというのはハードルが高く、足が向かなかった。それでも、1、2回行くうちに『同じ悩みを抱えてたんだ』と分かち合えることで、雑談、笑顔が生まれた」

 ただ、戸惑うこともあった。

 「自助グループのプログラムの中に、仲間と手を取り合って心の静穏を願うお祈りがある。海外ドラマでそんなシーンを見たことはあるけれど、まさか自分が手をつなぐとは思わなかった」と、本音をチラリ。だが、「包み隠さず話せることが僕にとってものすごく大きい。回復は皆より遅れているけれど、前進していると思っている」と力を込めた。

 現状については、「僕の場合は、依存度が大きかったこともあり、その副作用でうつ病を発症した。薬物に逃げたくないので、アルコールを飲んでしまったりということはある。つい最近も飲んでとても反省しているのだけれど。でも自助グループにつながってからは確実にお酒の量は減っている」と明かした。

 今年6月には執行猶予が明ける予定だが、「自分が思い描いているものが、世間の皆さまに受け入れられなかったらと考えると、執行猶予が明けるのがどんどん怖くもなっている」と不安感を吐露。それでも、昨年もこの厚生労働省主催のイベントに参加していて、1年間で自らの歩みを感じているので、「また明日からコツコツやっていきたい」と決意を口にした。