日本では「耳の日」、そしてWHOが定める「国際耳の日」でもある2021年3月3日、デマント・ジャパンがフィリップスブランド補聴器の新モデル「フィリップス ヒアリンク 9030/7030/5030 充電式補聴器」を発売した。AI音声処理技術を搭載した小型の耳掛け式で、フィリップス補聴器としては初のAIモデルである。

今回の新モデル。3時間でフル充電が完了し、一日使える(写真はデマント・ジャパン提供、以下同)

 本社をデンマークに置くデマント・ジャパンは、聴覚ケア事業を主力とする。商標ライセンス契約のもとで各ブランドの補聴器、聴覚診断装置を展開しており、補聴器ではフィリップスのほか、オーティコン(デンマーク)、バーナフォン(スイス)などを扱う。フィリップスブランドの補聴器は2020年1月から販売している。今回のモデルはデマント・ジャパンが独自開発したものだ。

 耳の日に先立つ3月2日には、オンラインによる新製品発表会が開催された。デマント・ジャパン 代表取締役社長の木下聡氏は、専門家による認知症予防、ケアに関するランセット委員会の報告を紹介しながら「認知症のリスク要因の中で、45〜64歳の中高年期では難聴が8%と最も高い」と指摘。これにより、早い時期からの補聴器装用が認知症予防に効果をもたらす可能性があると説明した。

デマント・ジャパン 代表取締役社長 木下聡氏

 WHOの定義では25dBを難聴の入口と定めており、これは働き盛りの50代や、60代以降のアクティブシニアでも該当する「非常に軽度な難聴」(木下氏)だとする。一方で木下氏は「日本では一般的に70歳を過ぎ、40dBを超えないと難聴として認められないと言われている。日本の補聴器を取り巻く実態と大きな乖離(かいり)がある」とし、一般層にも馴染みのあるフィリップスブランドの力を借りて、中高年へのカジュアルな補聴器装用を促していきたいと語った。ビジネス面でも、これまでリーチできなかった現役世代の潜在需要発掘が見込める。

 新機能の最大の特徴であるAI音声処理技術は、数十万の音環境を学習済みの「AIサウンドテクノロジー」を本体に搭載。AIが適宜ノイズを抑制し、騒がしい場所や普段の会話など、シチュエーションにあわせて聞こえの音量を調整する。また、2.4GHz帯のBluetooth LEによってiOS、Android(ASHA対応機種のみ)デバイスと直接接続が可能で、スマホアプリからの操作をはじめ、通話、音楽鑑賞ができるなど、あたかもワイヤレスイヤホンのような使用感を提供する。アプリを通じて補聴器販売店からリモートフィッティングを受けられるのもメリットだ。

スマホと連携するのもポイント

 外からは装用が見えないほど小型のデザインで、耳掛け式によりジャストフィットする仕様。はつらつと日常生活を送る軽中度難聴のアクティブシニアをターゲットに、生活の中に溶け込む補聴器を意識している。ベージュ、ブラウン、ダークグレーなど、カラーバリエーションは全6色を用意した。

外からは装用していることが分かりづらいデザイン