高い成長性が注目される手術支援ロボット。「hinotori(ヒノトリ)」など国産ロボットへの期待は高まっているものの、やはり気になるのが、「ダビンチ」を有する米インテュイティブサージカル社の動きだ(関連記事:国産手術支援ロボット「hinotori」は、巨人「ダヴィンチ」を凌げるか?。2022年3月2日、同社の日本法人であるインテュイティブサージカル合同会社は、新サービス「My Intuitive(マイ・インテュイティブ)」の提供と、今後の事業展開などについて、メディア向け説明会を開いた。同社は、日本市場をどう見ており、どんな事業戦略を描いているのか。

拡大する日本のロボット支援手術

 この3~4年で、ロボット支援下の胸腔・腹腔鏡手術が急増している。3D映像を確認しながらカメラや手術器具を装着したアームを操作して手術を行うロボット支援手術は、通常2Dモニターを使う従来の内視鏡手術に比べてより精緻な操作が可能となり、術中の出血量が少なく術後の回復も早いなど患者へのメリットも大きい。

 こうした手術支援ロボットのトップランナーが米インテュイティブサージカルの「da Vinci(ダビンチ)サージカルシステム」だ。2009年に手術支援ロボットとして国内初の薬事承認を受けて以降、第1世代から第4世代のXiやXまで450台以上が導入されている(2021年12月現在)。ダビンチの手術症例数は2018年以降に大きく伸びており、2021年は2017年の約3倍に増えた。

 背景には、公的医療保険の大幅な適用拡大がある。ダビンチによる支援手術は2012年の前立腺がんを皮切りに、2016年に腎臓がん、2018年に肺がん・胃がんなど12術式、2020年に膵臓がん・食道がんなど7術式が保険対象となっている。2022年の診療報酬改定でも、喉頭がん・下咽頭がん・総胆管拡張症・肝切除術・結腸がん・尿管がん・副腎腫瘍・褐色細胞腫が新たに追加される見通しだ。同時に、胃がんの3術式は学会から既存手術と比べて有用性があるとのエビデンスが示されており、診療報酬点数の加算対象になると目されている。

 このダビンチの主要な特許が2019年に切れたのを契機に、新たなプレイヤーの参入も相次いでいる。一例が、川崎重工業・シスメックスの合弁会社メディカロイドが神戸大学と開発した「hinotoriサージカルロボットシステム」。2020年9月から保険診療を開始しており、親会社の川崎重工業は「2031年3月期に売上高1000億円を目指して生産台数を年間100~200台に引き上げる」としている。ソニーグループも、アームの先端が触れた感覚を10倍に強調して伝える「精密バイラテラル制御システム」の開発を急ぐ。

図1●日本におけるダビンチ導入の歴史
図1●日本におけるダビンチ導入の歴史
日本法人のインテュイティブサージカル合同会社の設立は2010年。2021年12月現在のダ導入台数は450台以上(出所:インテュイティブサージカル合同会社、以下同)
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図2●日本における保険適用状況
図2●日本における保険適用状況
2012年に前立腺がんの保険適用を受けて以降、継続的に数を増やしている
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