世界にとびだせ!日本発の医療機器――そう題したオンラインイベントが開催された。東京女子医科大学、国立がん研究センター東病院、筑波大学の関東3拠点が主催する「AMED次世代医療機器連携拠点整備等事業2021年度 関東3拠点合同シンポジウム」(共催:LINK-J、2022年3月4日)だ。

 「実例が出てきた日本発の治療デバイス、ソフトウェア、手術ロボット」と題したパネルディスカッションでは、新しい医療機器の開発に携わってきた3人が登壇。国内初の脳血管ステント型血栓除去用デバイス「Tron FX」の開発に携わった神戸市立医療センター中央市民病院 脳血管治療研究部の坂井信幸氏、AIを用いた脳神経外科手術シミュレーションソフトウエア「GRID」を開発した東京大学 医用情報工学の金太一氏、腹腔鏡手術支援ロボットを開発した朝日サージカルロボティクス 代表取締役社長の安藤岳洋氏である。モデレータは、医療機器センターの専務理事の中野壮陛氏が務めた。

医療機器センターの専務理事の中野壮陛氏
医療機器センターの専務理事の中野壮陛氏
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 中野氏が尋ねたのは、「世界にとびだせ!」の観点から、世界と勝負するにあたって「求められることは何か」「世界と日本との違い」などについて。

 神戸市立医療センター中央市民病院の坂井氏が指摘したのは、世界の医療システムや制度、慣習が国や地域によって大きく異なること。単純に日本と海外で切り分けることができず、各国に対して個別対応しなければならないケースもある。そのため、「戦略的にどの国(あるいは地域)を狙っていくかが重要になる」と説く。成功の確率を高めるという意味では、ターゲットとする国や地域で「既に販路を持っている企業などと組むのもあり」と提案した。

神戸市立医療センター中央市民病院 脳血管治療研究部の坂井信幸氏
神戸市立医療センター中央市民病院 脳血管治療研究部の坂井信幸氏
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 東京大学の金氏がポイントに挙げたのは、目に見える知財以外の「ノウハウ」「匠の技」といった要素。金氏によれば、開発したソフトウエアであるGRIDは多くの特許を取得しているが、AIに関する特定の部分に関しては知財化しておらず「秘伝のような位置付けになっている」という。こうしたノウハウや匠の技の分野では「日本はかなり強い」と金氏は考えており、「そういった部分を大切にしながら、海外にも通用するものを作りたい」と語った。

東京大学 医用情報工学の金太一氏
東京大学 医用情報工学の金太一氏
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 朝日サージカルロボティクスの安藤氏は、各国の臨床現場の現状を詳しく知らないと勝負にならないことは明確であることから、「制度や規格なども含めて世界の現状を知ることが第1ステップになるのではないか」と考える。スタートアップが単独で世界進出することは難しく、グローバルな大企業と連携するなど「既にあるリソースを活用する方が、簡単かつ早期に海外進出を実現できるはず」とした。

朝日サージカルロボティクス 代表取締役社長の安藤岳洋氏
朝日サージカルロボティクス 代表取締役社長の安藤岳洋氏
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(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)