介護系スタートアップのウェルモは2021年3月17日、ケアプラン作成支援AI「ミルモぷらん」の発売を開始した。これに合わせてオンライン記者説明会を開催し、開発背景や製品概要、実際の使い方などについて紹介した。

 ミルモぷらんは、ケアマネジャーのケアプラン(居宅サービス計画書)作成業務を支援するクラウドサービス。自然言語処理技術に基づくAIによって、ケアプランの心臓部にあたるケアプラン第2表の作成を支援する。

「ケアマネジャーをより魅力ある職種に変える」

 ウェルモが現在目指しているのは、デジタル技術を導入して地域包括ケアシステムを進化させる「地域包括ケアシステムDX」の実現だ。そして、その先に「地域共生社会の実現がある」(同社 COO/介護プラットフォーム事業部長 福島成典氏)と考える。各種サービスをコーディネートするハブ役のケアマネジャーが地域包括ケアシステムのカギを握ることから、地域包括ケアシステムの進化には「ケアマネジャーへのデジタル支援が重要」と福島氏は訴える。

ウェルモ COO/介護プラットフォーム事業部長 福島成典氏(写真:オンライン記者説明会の画面キャプチャー、以下同)

 高齢化が進む日本において、介護人材の不足は以前から問題視されており、ケアマネジャーもその例外ではない。ケアマネジャーの受験者数と合格者数は低下傾向にあり、今後増加していく要介護者のケアを「数少ないケアマネジャーで担っていく」(福島氏)ことが予想される。これに加えて、ケアマネジャーの現在の平均年齢は「50歳程度」と言われており、職員の高齢化も課題の1つである。そのため、未来の担い手である若い人々に向けて「現場の生産性を高めることで、ケアマネジャーをより魅力ある職種に変えていく」(福島氏)ことが求められている。

 このような背景に対して、ウェルモはミルモぷらんで「人とAIが協業する世界」を実現し、「ケアマネジャーが本来やるべき業務のための時間確保」と「生産性の向上」という課題を解決していく考えだ。福島氏は「AIが得意なことはAIに任せ、ケアマネジャーは人にしかできない得意分野に集中する」と説明する。イメージとして「ケアマネジャーが道具としてAIを使いこなし、より生産性高く働く姿」を示した。

ケアプラン作成支援AI「ミルモぷらん」で実現したいこと

 昨今では「AIによってケアマネジャーの仕事がなくなる」という声をよく耳にするが、福島氏はそれを否定。利用者と家族に寄り添い、言葉にできないニーズや課題をくみ取ることは「AIや機械にはできない」と断言する。ケアマネジャーにしかできないことにより多くの時間や労力を割いてもらうためにも、便利な道具として「ミルモぷらんを使いこなしてほしい」と語った。

機能の特徴は3つ

 ミルモぷらんは、2021年度介護報酬改定において「地域包括ケアシステムの推進」の中の「事務の効率化による逓減性の緩和」に関連する。逓減性においては、ICT(AI含む)活用または事務職員の配置によって、その件数を見直す(逓減性の適用を40件以上から45件以上とする)ことが明記されたため、「詳細な事例はまだ出ていないが、ミルモぷらんもこの対象に適用される」(福島氏)とウェルモは想定する。

 実際の利用においては、ミルモぷらんはクラウドサービスとなるため、利用者はWebブラウザーからログインする。最初のアセスメントデータの入力は、全国社会福祉協議会のガイドライン方式に沿って入力する。この中でAIが活用するのは利用者の「相談内容」や「身体情報」などとなり、これらをもとに「過去の学習データからパターンを分析し、さまざまな機能を提案する」(ウェルモ ケアマネジメント支援事業部 井上寛基氏)流れとなる。

ウェルモ ケアマネジメント支援事業部 井上寛基氏

 なお、AIの学習データには、過去のアセスメントとケアプランのセットを使用している。論理構造が適切でないケアプランや専門用語の誤りなどは、「集めた学習データから除外されている」(井上氏)そうだ。

 ミルモぷらんの特徴について、井上氏は「専門知識の補助」「ケアプランの文章の提案」「介護サービス資源情報の提案」という3つの機能と、これら3つの特徴を使いやすく提案する「高い操作性」を加えた4つを挙げる。

 第1の機能である「専門知識の補助」は、入力したアセスメントデータをもとに、AIが利用者に必要と考えられる医療知識を探して提示する。利用シーンは「第2表の原案作成時」を想定。医療知識は「消化器系疾患」「感染症」「がん」「呼吸器系疾患」「脳神経系疾患」など豊富に用意されており、利用者の状態や疾患に合わせてAIが絞り込んで提示する。さらに、表示される各病気の概要には「ケアマネジメントにおけるアドバイス」などの情報も掲載されている。ケアマネジャーが見ることを念頭にコンテンツを仕上げており、「ケアにおける視点の漏れがないように、情報内容を精査して提示している」(井上氏)。

「専門知識の補助」の使い方イメージ

 第2の「ケアプランの文章の提案」は、蓄積されたアセスメントとケアプランのデータから、利用者に必要と考えられる文章候補を提案する。例えば、第2表の入力項目をクリックするとAIによる文章パターンが複数表示され、そこから考えに合う項目を選べば自動的に文章が入力される。文章を1から作る必要がないため、「どう書けばいいのか」という文章作成の悩みを解決できる。

 さらに、利用者の個別性に合わせた自由な修正にも対応する。必ずしもAIから提案された文章をそのまま使う必要はなく、イメージとしては「文章の土台をAIが示し、そこからケアマネジャーがブラッシュアップしていく」と井上氏は説明した。

第2表作成における「ケアプランの文章の提案」の使い方イメージ

 第3の「介護サービス資源情報の提案」は、地域ケア資源情報見える化サイト「ミルモネット」と連携し、利用者のニーズに応じた介護保険内サービスの選択肢を提案する。2021年夏以降の追加を予定する機能となる。

 最後に井上氏は、利用条件を補足した。利用対象は全国の居宅介護支援事業所、利用条件はインターネットが利用できるパソコン1台以上を持つ事業所、契約条件は1アカウントごと(ケアマネジャー1名ごと)の料金課金となる。また、初月の利用料金は無料で2カ月目以降は契約条件によって異なるため、見積もりでの提示となる。

(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)