ランダム化比較試験で否定された候補薬も

 今回NIHが主導する国際共同医師主導治験は、米国や日本のほか、韓国やシンガポールなどの医療機関も参加し、最終的に440人の被験者を集める計画。今後、より効果的な治療法が出てきた場合に、レムデシビルがその薬の比較対照になる可能性もある「アダプティブ」という方式を取る。

 治験の主要評価項目は、投与から15日後の臨床状態により表1のような8段階の順序尺度で評価される。

表1●レムデシビルに関する国際共同医師主導治験の主要評価項目
    ・死亡
    ・入院、侵襲的機械的人工換気又はESMOの使用
    ・入院、非侵襲的人工的喚気又は高流量酸素装置の使用
    ・入院、酸素補給が必要
    ・入院、酸素補給が不要─治療の継続は必要(COVID-19関連またはそれ以外)
    ・入院、酸素補給が不要─治療の継続も不要
    ・入院なし、活動の制限及び/又は自宅での酸素療法が必要
    ・入院なし、活動に制限なし

 被験者として選択する基準としては、COVID-19の症状があって入院している人で、採取された口頭咽頭のスワブを使ったPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査でSARS-CoV-2の感染が確定された人など、条件が設定されている。人工呼吸が必要などの理由で別病院への搬送が予定されるなど被験者から除外される条件も設定される。

 被験者はランダムに2つのグループに分けられて、実薬群にはレミデシビル、対照群にはプラセボが投与される。最長で10日間にわたって投与が行われる。大曲氏は、「標準治療は定まっていない現状で、プラセボと比べて効果を確認することは重要。薬が効きそうだからと、治療を不用意に使うことは患者を不利益にさらしたりする可能性もある。標準治療を見極めることで、新しく薬が出ても評価できるようになる」とプラセボ対照比較試験を行う意義を強調した。

 NCGMの治療の考え方としては、肺炎の有無から、ない場合には喘息の薬であるシクレソニドの投与を実施。肺炎がある場合には、さらに治験適格性がある場合はレムデシビルの投与を実施。治験適格性がない場合は、ファビラビルとナファモスタットの併用が検討される。極めて重症と判断される場合は、救命治療が行われる。

 大曲氏によると、今後、100人が登録されたところで中間評価される予定で、試験が適切であるかなど検討されることになる。治験結果を踏まえた薬剤の承認申請などは開発元のギリアド社と調整することになる。

 COVID-19治療薬の臨床試験を巡っては、3月18日、権威ある医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』において、抗HIV薬のカレトラがCOVID-19に対して効果を示されなかったと報告された。99人がカレトラ群、100人が標準ケア群の2群にランダムに分け、臨床症状の改善までの時間を比べると差はないという結果になった。試験開始28日時点の死亡率は差がなく、ウイルスRNAの検出でも同様だった。薬が無効であると見る向きはあるが、大曲氏は「エンドポイントの設定には議論があり、致命率など傾向として差があるように見えるところも。治療をして肺炎を防ぐことは大事」など、臨床研究で議論すべき点は残るとみる。COVID-19 を巡って候補薬剤の効果検証は続くが、その結果は継続的に注目される。

(タイトル部のImage:monsitj -stock.adobe.com)