限られた取り組みで受診率を上げるには…

 調査では、受診率向上のために行われている策の中から事前に36の取り組みをピックアップし、それぞれの取り組みの状況を調べた。すると、企業規模が大きくなるほど多くの取り組みを実施していることが分かった。例えば、がん検診の費用を会社で負担しているという大企業は90%に近いが、中小企業では50%程にとどまった。これは、「大企業では予算内でできることが多く、中小企業では限られた予算の中で厳選した策を実施しているのではないか」と福吉氏は見る。

 もちろん、多くの取り組みを行っているほど受診率は向上するだろうが、限られた取り組みでも受診率を上げられればそれに越したことはない。そこで福吉氏らは、どういう取り組みが効果的に受診率を向上させるのかを調べた。

 分析するに当たり、受診率を回答した企業を特徴や傾向に応じて3つのグループに分けた。それぞれ、(1)36の取り組みのほとんどを積極的に実施している企業241社、(2)36の取り組みをある程度実施している32社、(3)36の取り組みをほとんど実施していない136社、の3つだ。

 それぞれの企業群において受診率を比較してみると、予想通り(1)と(3)の間には大きな差があったが、(1)と(2)は近い受診率を得られていた。つまり、限られた取り組みを行うだけでも受診率の向上がかなり見込めることが分かったというわけだ。そこで、(2)の企業が特異的に行っていた12の取り組みを割り出した。

 (2)の企業の中で、最も多くの企業が行っていたのが、「受診対象者には文章やメール、口頭などで受診を促すお知らせをしている」こと。次いで、「従業員のがん検診(一次検診)の受診状況を把握する仕組みがある」「精密検査の受診状況を把握する仕組みがある」だった。

受診率に効く12の取り組み(資料:福吉潤氏)
受診率に効く12の取り組み(資料:福吉潤氏)
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